ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の猫~ココの登場15~

↑カテゴリー別のタイトルで、編集しました。【輝とココのこと】をクリックすると、ココの物語だけが出ます。🐈




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夜中、彼女は、心細くなったのか、鳴き始めた。
心配になって、下に降りると、電話台の前のマットで、鳴いている。

「寂しかったのかな?大丈夫だよ。」と、背中を撫でながら安心させる。

しばらく撫でながら、彼女が、落ち着いて眠るのを見て、そっと2階に上がった。


朝、目覚ましが、鳴ったので、急いで下に降りた。

彼女は、電話台の前のマットで、大人しく座っている。

「ごめんね。今日は、ごはんをあげられないんだ。我慢してね。」と、彼女の頭を優しく撫でる。

ミルが、{開けて}と鳴くので、応接間のドアを開ける。

ミルが、素早く入ってきて、また、トイレの様子をみて、彼女のトイレの後始末に、砂をかける。

「ミル、それは、ミルの仕事なの?」と、ミルを見ながら笑う。

朝の支度を済ませて、お母さんに手伝ってもらって、彼女を赤いキャリーバッグに入れる。

お母さんが、「本当に大人しい子ね。」
と、感心して言う。

西山所長に、「ちょっと、家の用事で遅れます。」と、電話を入れると、

「そうか。ゆっくりで、いいからな。」と、了承してくれる。

{多分、お母さんの退院後の用事だと思ってるんだろうな。}

9時前に、家を出て、病院に向かう。
受付で、「手術の予定で。」と、説明すると、女性スタッフさんが、先生をすぐに呼んできてくれる。

「ちゃんと、捕まえられたんですね。」と、先生が、笑いながら手前の診察室に案内してくれる。

中に入って、手術の説明を受ける。

たまに、すごく少ない確率で、麻酔で亡くなるにことがあったりするので、同意書にサインをして欲しいとのことだった。

私が、心配そうに彼女を見ていると、
「大丈夫ですよ。1万分の1って程の少ない確率です。どの手術にもつきものの注意事項です。」と、先生が安心させるように言ってくれるので、同意書にサインする。

「じゃあ、お預かりしますね。」と、先生が言うので、彼女を渡しながら、

「あのう、毎日、会社帰りに面会に来ても、いいですか?」と、お願いしてみる。

先生が、笑いながら、
「もう、飼っちゃえば、いいんじゃないですか。もちろん、構いませんよ。」と言うので、安心して喜んで彼女に、

「じゃあ、様子見に来るからね。いい子にしてるのよ。」と、言ってから、
これから、いきなり手術されることを考え直して、

「いい子にしてるなんか、無理か...」と言うと、

先生が、
「いや、もう十分、いい子にしてますし、よく分かってるみたいですよ。」と、笑いながら言う。

先生に、いっぱいお礼とお願いをして、会社に向かった。

会社に行くと、西山所長が、
「おぅ、お母さんは、大丈夫か?」と、聞くので、

「ありがとうごさいます。おかげさまで、元気です。ちょっと、退院後の病院の手続きが、残ってまして。」と、
適当に答える。

仕事中も、彼女のことが、心配でたまらない。

{朝は、御飯もらえないし。いきなり、病院に置いていかれて、手術されて痛い目にあって...は~、本当に大丈夫なのかなぁ...恨まれそうだな...}

仕事の合間に、先住猫がいる場合の、後から来た猫との会わせ方やら、接し方、慣らせ方など、いろいろネットで、調べまくる。

{ほ~、いきなり対面は、ダメなんだ。まず、ケージに入れて会わせて、徐々に慣れさせるのか。最初から、まずったな。で、ほ~、先住猫に、おまえが一番だよと納得させるようにして、先住猫を安心させる。先住猫を大切にか。失敗しまくりだったな...}

やっと、仕事が終わって、一目散に病院に向かう。

受付で、「あの、面会に来たんですが」とお願いすると、

女性スタッフさんが、手前から二番目の部屋に案内してくれる。

壁側に箱みたいなガラス張りの部屋が二段になって、三個ずつ並んでいて、入院中の猫や犬が入っている。

「こちらですよ。」と、上段の真ん中の部屋を案内してくれる。

彼女を見て、唖然とする。

{え...こんなにも弱るものなの...}

彼女は、点滴に繋がれていて、弱っていて、体を起こせないようだ。

それなのに、私を見るや、なんとか体を起こそうとする。
それでも無理なので、片方の肩で床をついて、私のほうに近づいてきて、喜んで挨拶にくる。

女性スタッフさんが、
「手術は、成功していますし、何も問題ありませんよ。まだ、手術後で、鎮静剤とかの点滴をしているから、体が動きにくいだけです。ゆっくり、会っていってあげてください。帰るときに、受付に声をかけていってくださいね。」と、優しく説明してくれて、静かにドアを閉めて出ていった。

ガラス越しに、肩をあげることが出来ず、必死に顔を上げている彼女に、顔を近づけて見ながら泣きそうになる。

{強いから、すぐに外に出せるとかネットの記事を書いていたバカNPOは、どこのアホや!}

「ごめんよ。こんなにも弱って、ぐったりするなんて思ってなかったんよ。私が、無知やった。ごめんな。しんどい思いをさせてしまって。体を起こそうとしなくて、いいから。ゆっくりしときなさい。また、明日も見に来るから。本当によく、頑張ったね。偉いね。」と、彼女に話し続ける。

けなげに喜んで見上げる彼女をずっとしばらく見つめてから、胸がいっぱいになって、外に出る。

「帰ります。」と、受付に声をかけて、ぼ~っと家に帰る。

「お姉ちゃん、あの子の様子は、どうだったの?」と、心配そうにお母さんが、私に聞く。

「お母さん、それが、かなり弱ってて、肩も持ち上がらないくらいで。」
と、しょんぼりと、つぶやく。

お母さんが、びっくりして
「え?そんなに弱ってるの。かわいそうに。肩も上がらないなんて...」と、絶句する。

「お母さん、あんな状態じゃ、外になんて出せないわ。あんなに、ぐったりしてるんだから。」と、訴える。

「そんなに、ぐったりしてるんじゃ、無理ね。そうね。」と、お母さんも心配そうに言ってくれる。

その日は、あまりのショックで、ダメージが、ひどく、何も考えられずに寝てしまった。


次の日、会社に車で向かいながら、思考能力が、徐々に戻ってきた。

昨日の彼女の姿を思い出しながら、

{あんなに小さい猫一匹、助けられないなんて、私は、なんて、ちっぽけな力の無い人間なんだ。情けない。}

自分の無力さを痛感して、悔しくて、涙が溢れてくる。

彼女のけなげに頑張る姿を思い出しながら、悔しさでいっぱいになる。


仕事をテキパキこなし、会社を定時に終わらせて、一目散にホームセンターに行く。

ペットコーナーで、ゲージを選ぶ。
二段式の中段にくつろげる床もある組立式のゲージを購入して、病院に急ぐ。

受付に行くと、すぐに女性スタッフさんが、昨日の部屋に案内してくれた。

今日も、彼女は点滴に繋がれたままだ。ただ、今日は、よく眠っている。

「怒ってるのかな?」と、心配になって、女性スタッフさんに尋ねると、

「違いますよ。多分、安心して眠いんですよ。今日は、いっぱい食べてましたし、私たちにも懐いてくれてましたから。」と、笑顔で答えてくれる。

確かに、今日は、楽そうだ。
よく眠っているし。

「じゃあ、私は、これで帰ります。」
と、安心して、私が言うと

「え?もう、いいんですか?」と、不思議そうに尋ねるスタッフさんに、

「はい、明日、迎えに来ますから、よろしくお願いします。」と、答えて、急いで家に帰る。

「お姉ちゃん、あの子の様子は?まだ、ぐったりしてるの?」と、心配そうに、お母さんが聞くので、

「うん、まだ、ちょっとぐったりして、ずっと眠たいみたい。」と答えて、重たい箱を家に運ぶ。

「お姉ちゃん、その箱は、何なの?」
と、びっくりして聞くお母さんに、

「ゲージよ。ミルが、ちょっかい出せないように、しばらく玄関に置くの。明日、連れて帰ってくるからね。」と、答える。

「そんな大きなゲージ、玄関に置いたら、邪魔だわ。」と、お母さんが、不満そうに言う。

「ちょっとの間だけだから、また、すぐに片付けるから大丈夫よ。」と、私も断固として、譲らない。

御飯と、お風呂を済ませて、必死にゲージを組み立てる。

私は、組立作業が苦手だ。
設計図通りに作るのもちょっと..
たいてい、パーツやネジが、少し何故か残ってしまう。

しかし、今回は、苦手だとは、言っていられない。
何としても、今日中に完成させなければ、ならない。
しかも、安全性も大切なので組立図に忠実に従ってしなければ。

組み立てては倒れ、組み立てては崩れを何回も繰り返す。

お母さんが、その様子を見て、
「お姉ちゃん、もう、諦めたら?大きくて邪魔だし。」と、パジャマ姿で、心配して言う。

「大丈夫。何とか分かってきたから。先に寝てて。」と言って、汗だくで格闘を続ける。

何とかやっと、出来上がった。
パーツも、ネジも全部ついている。
ちゃんとドアも閉まるし、揺すっても大丈夫。しっかりと出来ている。

ほら、まだ12時半だ。
よし、猫用ベッドも下に入れて、寝床も、ちゃんと作って、出来上がり!

さあ、ゆっくり眠って、明日、彼女を迎えに行こう。




🐈続く🐈