ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の猫~ココの登場14~

↑カテゴリー別のタイトルで、編集しました。【輝とココのこと】をクリックすると、ココの物語だけが出ます。🐈




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昨日は、全てがトントン拍子に上手くいった。感謝しなければ、ならない。

ありがとう、全てに感謝します。
どうか、このまま、今日も、上手く進みますように。

祈る思いで、ミルと一緒に階段を降りて、ミシン台の上の窓を開ける。

{いた!彼女は、ちゃんと、いつものように待っていてくれている。}

「では、ミルさん。今日も、行ってきます。」と、了解をもらってから、外に行く。

お皿に、いつもより栄養価の高そうなカリカリを入れてあげる。

「手術が、控えているから、栄養をとっとかないとね。子猫用のなんだ。」と、頭を撫でる。

満足そうに食べている彼女に、
「今日は、また、夕方くらいに来てくれるかな。お母さんが、帰ってくるけど、大丈夫だから。」と、お願いする。

心配で、いつもより長く、彼女と一緒にいてから、家に入る。

洗濯と用事を済ませてから、ミルにもお願いする。

「ミル、今日は、あの子を家に一晩入れるけど、ゆっくりさせてあげてね。手術が、控えてるからね。お母さんも、帰ってくるしね。」と、頭を優しく撫でる。

ミルは、気持ちよさそうに、目をつむっている。

{お母さんに、何て切り出そうかな。帰ってきてから、ゆっくりと話せば、いいかな。なんとかなるだろう。}

9時半になったので、病院に向かう。

病室に入ると、お母さんが、荷物を整えて、待ち構えている。

「あ!お姉ちゃん、来てくれてありがとう。」と、満面の笑みで言う。

「お母さん、もう、準備はいいの?」と、私も笑顔で応える。

「うん、もう大丈夫。」と、言うので
先に会計をしに行って、荷物を半分くらい、車に積みに行く。

病室に戻ってきて、「じゃあ、帰ろうか。」と、笑顔で、お母さんを促す。

お母さんは、病室の人に、「お世話になりました。」と、一人一人挨拶に行く。寝たままで、応答のない人もいるけれど...

残りの荷物を持って、病室を出て、ナースステーションで、看護師さん達にお礼を行ってから、病院を出る。

家に着いて、ドアを開けると、ミルが出迎えている。

お母さんが、ミルに、
「ミル。お母さんよ。お母さんのこと、忘れてない?戻ってきたのよ。」と、嬉しそうに話しかける。

「お母さん、先に上がって、ミルとゆっくりしてて。」

2人で仲良く戯れている間に、荷物を入れて、整理して片付ける。

お母さんに、紅茶を入れてあげて、
「良かったね。やっぱり、家は、落ち着くでしょう。ミルも、ちゃんと、覚えてくれてたしね。」と、笑いながら、私も落ち着いて座って、珈琲を入れて飲む。

「やっぱり、家は、いいわ。ところで、姉妹猫は、どうなったの?和室に、変な小屋みたいなのが、置いてあるけど。」と、突然、切り出される。

{え!もう?いきなり?

「ああ、姉妹猫なんだけどね。ほら、避妊手術の話、前にしてたじゃない。なんか、急に月曜日にすることになったのよね。ほら、近所の動物病院で。」と、アタフタしながら答える。

「月曜日?その猫は、どこにいるの?
ちゃんと、連れて行けるの?」と、お母さんが、びっくりする。

「ああ、多分、夕方くらいに来ると思うから、そのときに捕まえて、家に入れといて、朝に連れて行く感じかな。」と、目を泳がせながら答える。

「家に入れるの?ミルは、平気なの?」と、お母さんが、心配して聞く。

「ほら、応接間と台所のドアを閉めたら、納戸もあるし、ミシン台の上もあるし、この玄関周りで一晩、過ごせるよ。ミルが、来たときも、そうしてたじゃない。ほら、ミルは、今日、お母さんと一緒に寝たらいいじゃない。」
と、ニコッと笑って言ってみる。

「そうねえ、まあ、お姉ちゃんには、随分、面倒かけてるし。しばらくは、左手上げれないから、お世話かけちゃうから、文句言えないわね。」と、笑ってくれる。

{お!想定外の反応。}

「じゃあ、お母さん。退院祝いも兼ねて、お昼ご馳走するわ。どこがいい?」と、安心して尋ねる。

お母さんが、久しぶりにハンバーグが食べたいと言うので、近くのファミレスに出掛けた。

お母さんが、ハンバーグ&海老フライセット、私が、アボカドハンバーグセット。2人ともドリンクバーとデザート付きにした。

ゆっくりと、食事しながら、彼女の詳しい経緯をお母さんに説明する。

彼女との出会いや、朝晩待っていること、額の傷のこと、動物病院での話し、麻美ちゃんが飼うかもしれないこと、手術のこと、手術後のことなど。

{姉妹猫じゃないことと、ミルが飛び出した事件のこと、そのうち、すぐに家に入れる予定ということは、敢えて言わなかった。聞かれなかったし... .}

お母さんは、食後のメロンソーダ、私は、ホットカフェラテを飲んで、落ち着いているときに、お母さんが、
「今日は、上手く捕まえられるといいわね。」と、言ってくれる。

楽しく食事を済ませて、スーパーで、夕御飯のお寿司と必要なものを買って、家に帰る。

家に戻ってから、ミルもお母さんも私も安心したせいか、お昼寝をした。

私も、やっぱり、疲れていたみたいで、結構、熟睡してしまった。

目が覚めると、もう、3時半過ぎだ。
{彼女は、まだ来てないかな?}と、慌てて、下に確認に行く。

お母さんが、「お姉ちゃん、捕まえに行くの?」と、急いでやってくる。

「うん。一応、見てくる。」と、
答えると、

「じゃあ、ミルが、行かないように台所と、応接間のドアを閉めとくわ。」と、協力してくれる。

玄関を出て、いつもの場所を見ると、まだ、いない。

{まだ、早いか。今日、来るかどうかも、分かんないしな。ちょっと、縁側に座って、ゆっくりしよう。}

庭の花を眺めながら、しばらく、ぼ~っとしていた。

{今年は、赤い薔薇が、大きな花をいっぱい咲かせていて、見事だな。天気もいいし、鳥もさえずってるし、風も吹いてて心地いいな。}


随分、時間が経ったような気がして、一旦、諦めて家に入ろうかと思って、玄関の方に行くと、彼女が、おずおずと、裏の方から、顔を覗かして、様子を見ている。

{ああ、いつもと違う感じだから、ちょっと、遠慮してたのか。}

「こっちにおいで。大丈夫だから。」と、しゃがんで呼んでみると、彼女は、すぐに急いでやってくる。

嬉しそうにやって来た彼女の頭を撫でて、パッと優しく抱き抱えて、急いで家に入る。

驚く彼女を、玄関にそっと置き、靴を脱いで階段に座り、

「びっくりさせてごめんね。今日は、一晩家にいてくれないかな。」と、話しかける。

彼女は、急いで階段に登ってきて、後ろから、私の首にまとわりついて甘えてくる。

{家に入れたのが嬉しいのだろう。}

必死に甘える彼女に、胸が熱くなり、優しく撫で続ける。

{なんだろう。とても、愛しく感じる。長年、会うことが出来なくて、再開出来たみたいな感じだ。また、外に出すのは、可哀想だな...}


気配を感じ取ったミルが、応接間からドア越しに大声で鳴いて抗議する。

{こそこそ隠れて、何やってんの?いるんでしょう!開けなさいよ!}
ドアを叩きながら、激しく鳴き叫ぶ。

お母さんが、心配して、
「ちゃんと入れれたの?ミルが、興奮してるけど、大丈夫?見せないと落ち着きそうにないけど。」と、ドア越しに訴える。

「ちょっと待っててね。大丈夫だから。」と彼女に一声かけてから、台所のドアのほうから、和室を通って、応接間のほうに行く。

興奮するミルを優しく撫でて宥めながら、「お母さん、取りあえず、あの子に、ごはんとお水をあげてくる。7時以降は食べちゃダメって、先生に言われてるから。」と、お母さんに説明する。

「じゃあ、お母さんが、御飯の用意をするわ。缶詰めとカリカリで、いい?いっぱい、食べさせてあげないとね。」と、御飯の用意をしに台所に急いで行ってしまう。

「お母さん、手術前だから、引き出しに入ってる、子猫用のカリカリと離乳食にして!」と、まだ、抗議を続けるミルを宥めながら、大声で言う。


「用意できたわよ。」と、お母さんが、嬉しそうに言うので、台所で、受け取って、彼女のところに持っていく。

ミシン台の横にある電話の置き台の前の椅子に敷いているマットの上に座っていた彼女は、嬉しそうにやってきて、食べる。

「お水もあるからね。」と、横にそっと置く。

カリカリを食べ終えて、私のほうに後ろを振り返って見上げながら、
{おかわり}と、嬉しそうな顔をする。

台所から、カリカリの袋を持ってきて、お皿に足してあげる。
彼女は、嬉しそうに食べる。
また、振り返って、{おかわり}って顔をする。

{おかわり}っていう顔が、かわいくて、何度もあげたくなる。

食べおわって、満足している彼女を階段に座って、ゆっくり眺めている。

彼女が、そわそわし出した。

{ああ、トイレか。トイレを、どこにしたらいいか、分かんないんだな。}

「ここだよ。」と、新しい砂を入れて用意していた猫用トイレに導く。

「ほら、砂も新しいから、きれいだよ。」と、安心させるように言う。

彼女は、困ってモジモジしている。
{粗そうをするわけには、絶好にいかない。}と、我慢しているようだ。

{どうしよう。}と、困っていると、お母さんが、ちょうどドアを開けて様子を見にきた。

「お母さん、どうしよう。トイレしたいのに、分からないみたいで。」と、慌てて訴える。

トイレしつけ人のお母さんが、トイレを見て、「そんな新しい砂じゃ、分かんないわよ。待ってなさい。」と、
台所から、ミルが用を足した猫用トイレを彼女の前に置いて、
「ほら、ここにしなさい。」と、促す。

彼女は、匂いをクンクン嗅いで、理解したようで、猫砂に用を足し始める。

おっきい方だ。
彼女は、猫砂を使ったことが、無いようだ。
用を足した後、そのまま、砂をかけなかった。
野良の世界では、用を足したら、すぐに逃げないと危険なので、砂をかけるゆとりはなく、そんな習慣がないんだろう。

{かわいそうに。そんなに、外の世界は、危険がいっぱいなのか...} と、しんみりしていたら、

「ほら、ミルのおしっこの匂いで、トイレしていいって分かるのよ。」と、お母さんが、得意気に言う。

しかし、彼女のうんこは、とても臭い。慌てて、ミシン台の上の窓を開けた。

多分、生きるために、食べれるものは、何でも食べてきたから、胃腸が悪いのだろう。

そこへ、きちんと閉めていなかった台所のドアの隙間から、ミルが素早くやってきて、トイレを見るや否や、猫用トイレに入って、

{もう!トイレしたら、砂をかけるのよ!こうよ!しょうがないわね!}と、猫用トイレに入って、彼女のトイレの後始末をし始める。

{さすが、トイレしつけ人のお母さんから、立派にトイレのマナーを引き継がれているトイレ番長だ。ちょっと、小うるさい小姑みたいだが.. . }

「ミル、やめなさい!衛生に悪いわ。」と、お母さんが、ミルに言うけど、ミルは、必死に砂をかけつづける。

彼女は、熱心にミルのすることを見て、研究している。

トイレの後始末を終えて、ミルが、彼女を追い出そうと、彼女の方に飛びかかろうとする。

私は、びっくりして、
「ミル!やめて!」と、大きい声を出すと、ピタッと止まって、私のほうを振り返る。

{怒ったの?}と、ミルが、きょとんとした顔をする。

「ミル、怒ってないから、大丈夫。ちょっと、びっくりしただけ。お願いだから、優しくしてあげて。」と、
ミルの頭を撫でながら、お願いする。

「さすが、ミルね。トイレは、完璧だわ。」と、お母さんは、ご満悦だ。

「ところで、お姉ちゃん、この子は、ミルと姉妹じゃないんじゃないの。ミルが、嫌がってるし。一緒に飼うのは無理なんじゃない。」と、難しそうな顔をして言う。

「よく似た年だと思うんだけどな。キジシロとキジトラだし。姉妹じゃなくても、ちょっとずつ、慣らしたら大丈夫じゃないかな。ミルは、優しい子だし。この子は、いい子だし。」と、しどろもどろで、小さい声で言ってみる。

お母さんが、彼女の背中を、そっと撫でる。
彼女は、大人しく撫でられている。

「まあ、この子は、ミルと違って噛まないのね。確かに大人しいいい子ね。」と、お母さんが、嬉しそうに言う。

「そうなの。人懐っこいし、いい子なのよね。なんで、こんないい子を捨てたのかな。」と不思議そうに、つぶやく。


その後、夕御飯を食べて、お風呂に入って、寝る時間まで、彼女は、大人しかった。

その日は、ミシン台の前と上に、それぞれ猫用ベッドを置いて、
「好きなところで、寝てね。」と、彼女に言って、ドアを閉めて寝てもらうことにした。




🐈続く🐈