ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の猫~ココの登場16~

↑タイトルの下に、カテゴリー別のタイトルを入れて整理しました。🐈
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目覚ましの音楽で、目覚める。
{ん?珍しく、ミルが、いないな。}

階段を降りていくと、
ミルが、「ミャア」と、ご機嫌に挨拶をする。

{何故、おまえが、そのケージの寝床で、くつろいでいる...}

{あ!しかも、ケージのトイレで、用を足してるじゃないか...}

「ミル、それは、おまえの新しいオモチャでは、ないわ。」と、ケージに近づくと、ミルが、前足でケージのドアを器用に閉める。

{何故、そんなに頭が、いいのか..}

お母さんが、起きてきて、私達の様子を見て、

「良かったじゃない、お姉ちゃん。少なくとも、ミルは、ケージを気に入ったみたいだし。ミルが乗っても大丈夫みたいだし。」と、笑う。

何となく、ケージ作戦は、失敗したような予感を感じながら、会社に向かう。

会社に着いて、携帯を見ると、メールの着信がある。

{誰かな?}と、思って見ると、麻美ちゃんからだった。

メールの内容を見ると、

(輝ちゃん、遅くなってごめんね。やっと、旦那のOKが、出たのよ。斗真の成長にも、いいしね。落ち着いたら、斗真と、その猫ちゃんに会いに行ってもいいかな?)
って感じに、書かれていた。

{え?まさか、OKするとは、思っていなかった。てっきり、駄目だと思ってたからな..彼女は、どうなんだろう?麻美ちゃんの家のほうが、愛情を一身に受けられるから、幸せなのかな?病院でも、スタッフさん達に懐いていたらしいし、斗真とも仲良くなるかも..}

しばらく考えて、決めた。
{彼女に、決めてもらおう。}と。

麻美ちゃんには、

(避妊手術を終えて、今日、退院してくるところなの。しばらく、体調を見て、落ち着いてから渡すとして、その前に一度、この子を見に来ない?一度も見ていないし、相性とかもあるだろうから。この土曜日は、どうかな?)

こんな感じで、返信した。

{彼女は、麻美ちゃんちで、上手くやっていけるのかな?斗真は、彼女を見たら、気に入らないんじゃないかな?まあ、駄目なら、うちで飼うから、いいか。}と、仕事中、悶々とする。

仕事を終えて、病院に一目散に向かう。

受付で、「引き取りに来ました。」と、急いで伝えると、

女性スタッフさんが、
「この子は、外に出すんでしたよね?」と、聞いてくるので、

「いえ、もう、家の中に入れます。外には、出しません。」と、答える。

スタッフさんが、驚いた顔をして、

「そうなんですね。分かりました。待合室で、しばらくお待ちくださいね。」と、奥の方へ消えていく。

待合室で待っていると、金持ちそうなお兄さんが、やっぱり、避妊手術を終えた小型犬を上機嫌で迎えに来た。

かなり、可愛がっているのだろう。
高そうなドッグフードの袋も購入した。

女性スタッフさんに抱えられた、可愛いチワワを引き取って、喜んで抱きながら撫でている。

「5万8千円です。」と言われても、ニコニコ上機嫌で会計を済ませて、帰っていく。

{え~と、あの人は、多分、日帰りの避妊手術だよね。まあ、ドッグフードは、買っていたけれど。私は、入院2泊に点滴とか、いろいろ手術に要望入れたからな。うん、余計にお金、いっぱい持ってきといて良かったな。}

「花田さん、こちらにどうぞ。」と、さっきのスタッフさんが、手前の診察室に私を案内する。

不思議そうにしている私に、

「院長から、お話があります。院長は、最近、変わったんですよ。前の院長は、理事になって経営のほうになったんでね。座って、待っていてくださいね。」と、笑顔で説明しながら、ドアを閉めて出ていく。

椅子に座って、{わざわざ、院長から説明?さっきの人は、受付で引きとって、そのまま帰って行ったけどな。}と、不思議に思いながら、大人しく待っていた。

奥の方のドアが開いて、まだ、点滴をしている彼女を抱き抱えて、院長が入ってくる。

{え!院長?前の彼女(ミュウ)を長年診てくれていた女の先生だ!あの先生が、院長になったの!}

院長が、彼女を優しく診察台に置き、

「私が、手術をさせていただきましたよ。大丈夫ですよ。ギリギリまで、点滴をしといてあげようと思いましてね。あとで、楽になるようにね。」と、笑いながら言う。

私は、感謝で胸がいっぱいになりながら、「ありがとうございます。」と、お礼を言う。

「この子は、家に入れてくれるんですね。可愛がってもらえるんですね。」
と、笑顔で聞くので、

「はい。家に入れます。実は、土曜日に、友達が見に来て、引き取ることになるかもしれませんが、多分、駄目だと思います。ほら、黒っぽい柄だし、子猫じゃないから、友達の子供が、気に入ると思わないし。でも、その場合は、私が、家で飼います。」と答える。

院長は、優しく笑って、
「この子は、かわいい子ですよ。スタッフや先生方みんなに、懐いてましたし、大丈夫ですよ。」と言ってくれる。

「あのう、一応、ケージを買って、もう、組み立てて用意してるんです。ほら、ミルが、いるでしょう?ミルは、ほら、噛み癖があるし、慣れるまでは、ケージ越しがいいとかってネットで見たから。」と、院長に相談する。

院長は、うなづきながら、
「そうです。初めから、いきなり、一緒にしたりせずに、徐々に慣れさせるんですよ。大丈夫。困ったり、分からないことがあったら、いつでも、相談に来なさい。私達は、全面的にいつでも協力しますよ。」と、力強く言ってくれる。

私は、感激で胸がいっぱいになった。
なんて、心強いんだろう。
そして、みんなの優しさと思いやりを胸いっぱいに溢れんばかりに感じて、嬉しくて泣きそうになる。

私は、何度も何度もお礼を言う。

院長が、彼女から点滴を外して、優しく私に渡してくれる。

私は、ずっと大人しくしている彼女を、優しくキャリーバッグに入れて、
診察室を出る。

待合室で、キャリーバッグ越しに彼女を見ながら、会計を待つ。

「花田さん。」と呼ばれて、会計に行くと、女性スタッフさんが、
「2万8千円です。」と、言う。

{え??普通より、安くない?}と、きょとんとしながら、会計をする。

スタッフさんが、笑顔で
「気をつけて帰ってくださいね。」と、優しく言ってくれるので、深くお辞儀をして、病院を出る。

みんなの思いやりに胸がいっぱいになりながら、彼女と家に帰った。

家に着くと、お母さんが、待ち構えていた。

「おなか、すいたでしょう?さあ、カリカリと缶詰めを用意してるわ。ミルが入って来れないように、ドアは閉めてるから、大丈夫よ。」と、キャリーバッグを引き取って、彼女と一緒に家に入っていく。

私も続いて入って、キャリーバッグから、彼女を出してあげる。

「さあ、帰ってきたよ。覚えてるかな?」

彼女は、しばらく分からずに、きょとんとして周りを見渡していたけれど、やっと分かったみたいで、嬉しそうに私の顔を見上げる。

「さあ、お母さんが用意してくれた、御飯を食べて。」と、促すと、嬉しそうに食べ始める。

お母さんも、その様子を見て、
「良かったわ。元気になってきたみたいね。」と、喜ぶ。

彼女は、私の方を振り返って、見上げながら、{おかわり}と、嬉しそうに言うので、慌てて、カリカリを持ってきて、お皿に足してあげる。

お母さんに、病院での話しをする。

「まあ、あのミュウの先生が、院長にねぇ。ミュウは、今でも助けてくれるのねぇ。」と、感慨深げに言う。

麻美ちゃんのことも、話すと、

「あら、どっちも気に入るといいわね。でも、大丈夫かしら。」と、やっぱり、お母さんも、期待していないようだ。

話している間に彼女が、2階に上がっていってしまった。

私の隣の部屋に入って、昔、ライちゃんが、使っていた黄色い布団に横たわってしまう。

お母さんと、顔を見合わせて、
「やっぱり、まだ、しんどいみたいだね。」と言うと、

「そうね。しばらく、ここで、ゆっくりさせといてあげましょう。」と、
お母さんも同意する。

二人で、下に降りて、彼女を、そのまま、しばらく放っておいてあげた。




🐈続く🐈