ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の猫~ココの登場17~

↑カテゴリー別にタイトルをつけて、編集しています。
【輝とココのこと】をクリックすると、ココの物語だけが、出ます。🐈



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晩ご飯を食べて、お風呂に入って、{さあ、彼女の様子を見に行こうか}と、階段を上がろうとすると、彼女が、ちょうど降りてきてトイレをする。

階段に座って、様子を見ていると、素早く、どこからかミルが、現れた。

トイレに入り、また、彼女の後始末をしている。

{もう!砂のかけ方が、なっちゃないのよ!こうよ!}と、言わんばかりに激しく砂をかいている。

一通り終わって、気が済んだのか、トトイレから出て、彼女に近づいて、ふんふん、匂いを嗅いでいる。

彼女が逃げて、電話台の前のマットに座る。

どうも、そのマットが、彼女のエリアだと、思っているようだ。

ミルが、意地悪く、彼女をそのマットから、追い出そうとする。

「ミル、止めて!その場所に居させてあげて!」と言うと、大人しく止めてくれる。

様子をこっそり見ていたお母さんが、

「怪我するようなケンカもしないみたいだし、トイレもちゃんと出来るみたいだから、ドアを開けといてもいいわね。」と、ドアを解放する。

「そうだね。今日、眠るときだけ、念のため、ゲージに入れよっか。」と、私も同意する。

彼女は、本当に大人しい。
ミルが、私とオモチャで遊んでいるときも、隅のほうで、じっと不思議そうに観察していた。

今まで、遊んだことがなくて、やり方が、分からないようだ。

彼女のほうに、オモチャを差し出しても、どうしたらいいのか分からず、困ってしまっている。


その日は、彼女をゲージに入れて寝た。
「今日だけだからね。」


夜中に、彼女が不安そうに鳴き出す。
ミルが、様子を見に、急いで、私の部屋から下に降りていく。
しばらくすると、彼女は鳴き止んだ。

しばらくして、そっと下に降りて、様子を見ると、ミルがゲージの側で、安心させるように、一緒に寝ている。

{ミルは、お姉さんみたいだ。明日、もう、ゲージを片付けよう。}と、決めて、その日は、ゆっくり眠った。

朝、起きて、台所の別々の場所で、ミルと彼女に、御飯をあげるために、用意をしていると、ミルがテーブルの上に登ってきて、そのまま食べ始める。

彼女も真似しちゃわないかなと思って見ると、大人しく座って待っている。

「偉いね。」と、頭を上から撫でようとすると、ビクッと体をすくめる。

{ん?頭をたたかれて、しつけられてたのかな?前から、思ってたんだけど、正面から頭を撫でようとすると、いつもビクッとする。しかも、ちょっと、礼儀が正し過ぎるんだよな。}

頭の後ろのほうから、優しく撫でて、
「ちょっとくらい悪さしても、叩かないし、怒らないよ。大丈夫だよ。ミルなんて、悪さだらけだよ。」と、御飯をあげる。

彼女は、嬉しそうに食べて、後ろを振り返って、{おかわり}と、嬉しそうな顔で、私の顔を見上げる。

本当にかわいい。
何回も、同じようにおかわりをする。


「お母さん、今日は、帰ってきたら、ゲージを片付けるね。」と言って、
会社に出かける。

会社に着くと、麻美ちゃんからメールが来ていた。

メールを見ると、(土曜日の2時に斗真と見に行きます。楽しみです。)とのことだった。

麻美ちゃんに、(待ってますね。)と返信する。

{土曜日の2時か。彼女の、おかわりって顔が、もう見れなくなっちゃうのか。寂しいな。とりあえず、新しい猫用トイレとか買って、彼女の好きなカリカリとか、一応準備しておこう。}

仕事をしながら、考える。
{彼女は、麻美ちゃんちで、幸せにやっていけるのかな。断ったほうが、いいんじゃないのかな。}

思い悩んで、はるみちゃんに、Cメールを入れる。

だいたいの事情と、あさみちゃんちに渡したほうがいいのかとか、私は彼女を幸せに出来るのかなとか、自信がないとかいったことを、何回かに分けて書いて、送信した。

はるみちゃんは、いつも優しい。
私が、彼氏と別れたときも、私の電話に夜明けまでも、付き合って、私の話を聞いてくれたこともあった。

はるみちゃんから、返信が来た。

(大丈夫、幸せに出来るよ。輝ちゃんに飼われる猫ちゃんは、ほんとに幸せものだね。羨ましいよ。(笑))

はるみちゃんは、本当に優しい。
お礼の返信をして、決める。

{斗真に、よっぽど懐いて、彼女が、行きたいと言わなければ、断ろう。}

家に帰ると、彼女は出迎えて、甘えてスリスリしてくる。

優しく撫でて、一緒に家に入る。
彼女は、今日も大人しくしている。

【ただ、彼女は、段々個性を出してくるようになる。それに伴い、彼女とミルのバトルは、これから徐々に激しくなっていき、仲良くやっていくまでに、ちょっと時間がかかることになるし、大変なのだが、この話しは、また、別の物語で書くことにしよう。】


土曜日になって、一応、彼女が気に入った場合のことも考えて、猫用トイレ、カリカリ、猫砂、キャリーバッグ等いろいろと準備をした。

今日は、晴天で気持ちのいい日だ。
飲みものと、茶菓子などを応接間にセットして、2人を待つ。

お母さんも、「どうかしらね。気に入るかしら?」と、心配している。

車が止まって、チャイムが鳴る。

その時点で、ミルが、すでに応接間のソファーの後ろに隠れてしまう。

それを見て、彼女も真似して、一緒にソファーの後ろに隠れてしまう。

麻美ちゃんと斗真を出迎えに行って、車を駐車場に誘導して、応接間に迎え入れる。

「いらっしゃい。麻美ちゃん、斗真。えっと、今、ソファーの後ろに入っちゃってるけど、後で出すから、とりあえず、飲みものとお菓子をどうぞ。」と、座ってもらう。

お菓子を食べながら、ジュースを飲み、いろいろ楽しく話しをして、ちょっと落ち着いたところで、

「じゃあ、ちょっと出してみるね。」と、ソファーを前に移動させて、手を伸ばして、引っ張りだしてみる。

{あれ、ミルだ。}

「わぁ、おっきくなったね。ミルちゃん。」と、斗真が喜ぶ。

ミルは、自分じゃないことを、すぐに察して、ソファーの後ろの彼女に、
{あなたの方みたいだよ。出てきてあげたら?}という顔をする。

彼女は、カ~っとなって、意地でも出るもんかと、さらに奥に行って、
「シャー!シャー!」と、鳴く。

{ダメだ、こりゃ。彼女は、全力で拒否している。}

私たちのやりとりを見ていた麻美ちゃんが、すぐに悟って、
「輝ちゃん、そんなに嫌われているようじゃ、無理ね。」と、笑いながら言ってくれる。

「斗真、今回は、諦めよう。」と、斗真にも、諭してくれる。

「ごめんね。せっかく、旦那を説得までして、来てくれたのに。斗真も本当に、ごめんね。」と私は、平謝りする。

「いいのよ。あんなに、自己主張されたら、引くしかないわ。」と、麻美ちゃんは、優しく笑って、斗真を連れて、早々に帰っていってくれた。

お母さんが、「やっぱり、駄目だったわね。だいたい、この子、初めから、お姉ちゃんのストーカーで、ずっと離れなかったんだもんね。」と笑う。

「病院で、皆に懐いてたって言ってたから...もしかしたらと思ったから。」と、言いながら、反面、彼女が、行かなくなったことに安心する。


「もう、行かなくていいから、出ておいで。」と、ソファーの後ろの彼女に、出るように優しく促す。

彼女は、怒りで興奮して、「シャー」と、全力で抗議し続ける。

「ごめん、本当にごめん。もう、どこにも行かなくていいから。」と、彼女に謝り続ける。

彼女の怒りは、おさまらない。
ソファーの後ろから飛び出して、電話台の横にある納戸に、走って行ってしまう。

追いかけると、納戸の奥の方の荷物でいっぱいのところに潜りこんで、顔だけ出して、「シャー」と抗議し続ける。

{私は、どこにも行きませんから!ここに、いるんだから!}

お母さんが、「お姉ちゃん、しばらく放っておいて、落ち着いてお腹がすいたら、出てくるわよ。」と、私を応接間のほうへ連れていく。

私は、その間に、要らなくなった猫グッズを物置に片付けたりして、彼女が落ち着くのを待った。

夕方になって、ミルに御飯をあげる時間になったので、彼女にも御飯を用意して、納戸に行くと、

{私は、食べません!どこにも行きませんから!}と、状況が、全く変わらない。抗議は、延々と続く。

{これは、ハンガーストライキというものでは?ハンストって初めて見たけど、猫のハンストってあるんだな...}

「ねえ、もう、行かなくていいから。出ておいでよ。お腹、すいたでしょう?」と、説得するが、全く状況は、変わらない。

お母さんが、「お姉ちゃん、夜になって、疲れてお腹が空いたら出てくるわよ。晩ご飯食べて、お風呂、先に入っちゃいなさい。」と言うので、素直に従う。


お風呂から上がると、お母さんが、納戸で、御飯を手にもって、彼女を出そうと説得してくれていた。

「お母さん、どう?」と、尋ねると、

「ダメだわ。本当に根性のある子ね。全く、出てこないわ。」と諦める。

彼女のほうを見ると、
{私は、絶対に行きませんから!}と、まだ、抗議し続けている。

{この勢いじゃ、もう、朝までダメかも}と、諦めかけたときに、彼女が、納戸から出てきて、トイレに行った。

トイレから出てきた彼女に、
「お腹空いたでしょう?もう、誰もいないし、もう、どこにも行かなくていいから。ね?」と、優しく言って、御飯をあげる。

彼女は、やっと落ち着いて、御飯を食べ始める。

{良かった。}と、一安心する。

時計を見ると、10時を過ぎている。

{なんて信念を貫く根性のある子なんだろう。}と、ほとほと感服する。

彼女は、{おかわり}と振り返って、嬉しい顔で、私を見上げる。

私は、安心して、カリカリをお皿に足してあげる。

彼女は、何度もおかわりする。
本当に可愛い顔だ。

その夜は、みんな疲れきって、ぐっすり眠り込んだ。


次の日の日曜日、朝の用事を済ませて、彼女と横並びに座って、窓から庭を眺めていた。

今日も、晴天で、心地よい風が、吹いている。

網戸越しに見える庭には、赤い大輪の薔薇が、綺麗に咲き誇っている。

本当は、網戸の向こうの縁側に座って、彼女と一緒に見たいのだが、彼女は、もう、家猫なのだから、外に出すわけにはいかない。


私の頭に、一つの文字が浮かんだ。

横に座っている彼女を優しく見つめて

「ココ(CoCo)にしようか?」と尋ねる。

彼女は、エメラルドグリーンの目を大きく見開いて、「いいの?」と、嬉しそうに私の顔を見上げる。

「ああ、いいよ。ココにしよう。おまえの名前は、ココだ。ずっと、ここに、私の傍にいておくれ。そして、ココシャネルのように、信念を貫く根性のある気高いおまえに、ふさわしい名だ。ココ、かわいい子。」と微笑む。

彼女は、嬉しそうにスリスリと甘える。

私は、ココを愛しく、優しく撫でる。