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はるみちゃんに会いたいな。
はるみちゃんは、小学校からの同級生だけど、仲良くなったのは、中学からだ。
はるみちゃん、よっちゃん、りんこちゃん、あさみちゃん、そして私の5人グループだった。
私は、部活はテニス部で、あさみちゃんはバレーボール部、りんこちゃんはバスケットボール部で、はるみちゃんとよっちゃんは、入ってなかった。
だから、はるみちゃんとよっちゃんは、特に仲が良かった。
私は、学校外でも、少林寺拳法をしていて、大会に出まくってたから、そんなに、しょっちゅう、みんなと一緒にいるわけでは、なかった。
でも、休みの日には、よく、はるみちゃんの家で、5人で集まっていた。
はるみちゃんちは、漫画がいっぱいあって、読み放題で楽しかったし、いつも、猫がいた。
猫は、私に一番懐いてくれた。
はるみちゃんは、「猫は、一番安全なところを選ぶのよ。」と、笑っていた。
猫とも遊べるし、最高だった。
今だと、不思議に感じるのだが、その頃は、全然、気にしていなかった。
はるみちゃんの家で、家族の人と会ったことが、一度もなかった。
いや、一回だけ、お姉さんに会った。
「はるみ、この子見といて。」と、はるみちゃんに赤ん坊を渡して出ていった、派手な女の人だった。
五人で、はるみちゃんちに泊まって、年を越したこともあった。
私は、徹夜が出来ないので、早々に、はるみちゃんのベッドで寝てしまった。
五人で、初午に行って、どんぐり飴を買ったりもした。
初詣で、夜に参拝に行ってキャーキャー騒いだ。
端の方が危ないならと、訳の分からない理由で、はるみちゃんとよっちゃんに挟んでもらって、歩いて参拝に行ってたっけ。
結構、夜なのに人が来ていて、かがり火が、綺麗だった。
高校は、私だけが、違う高校に進学して、他の4人は、同じ高校に進学した。
私は、受験勉強や新しい高校生活に忙しく、なかなかみんなと会えなくなったけど、それでも、たまに会っていた。
大学は、私が県外の大学、あさみちゃんとりんこちゃは、県内の大学、はるみちゃんとよっちゃんは、県内で働いていた。
夏休みとか長期休暇のときに、実家に帰ってきたときは、五人で会って遊んだ。
遊園地に行ったり、大池遊園に行って、白鳥のボートに乗ったり、ボーリングにカラオケ、楽しかった。
はるみちゃんは、歌が上手かった。
特に演歌が、すごく上手だった。
みんなはしゃいで、歌って、食べて、飲んで、おしゃべりした。
大学も終わるころ、はるみちゃんから電話があった。
「私でも、彼と結婚していいだろうか?」みたいな、相談だった。
何故、そんなことを聞くのか、さっぱり分からなかった。
「もちろんよ。結婚して、幸せになってよ。」と、笑って答えた。
そのあと、はるみちゃんは、結婚して、マンションに住んで幸せそうだった。
月日が流れて、あさみちゃんからメールが来た。
「はるみちゃんが、いなくなった。」
どうも、マンションから最小限の荷物だけを持って、夫婦でどこかに行ったらしい。
マンションのオーナーが、残った荷物を山に捨てて、その中にあさみちゃんの手紙が入ってて、連絡があったらしい。
そのだいぶ後で、分かったのだが、逃げるのに、りんこちゃんが、手伝ったらしいこと。
詳しいことは、りんこちゃんしか知らず、教えてもらえないこと。
はるみちゃんの家族から、逃げたらしく、居場所とか知られたくないこと。
元気で、夫婦で生活してるらしいこと。
私は、なにも知らなかった。分かっていなかった。
そして、今も、教えてもらえない。
はるみちゃんの家庭に小さいころから、問題があったことを。
はるみちゃんから、たまにCメールが来た。
【メリークリスマス。】とか、
【よいお年を】とか。
その度に返信したけど、そのうち、Cメールも来なくなった。
今でも思い出すのは、中学生のころ、校庭で、セーラー服姿で、五人で大きな口を開けて、笑っている幸せな光景だ。