ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の猫~ミルとの出会い2~

↑カテゴリー別のタイトルで、編集しました。【輝とミルのこと】をクリックすると、ミルの物語だけが、出ます。🐈







来たときのミル

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家に帰って、早速、子猫を探す。

いない!見当たらない!どこ行ったの?

お母さんが、「ほら、どっか行っちゃったのよ。先に、荷物、家に入れちゃいなさい。」と、ちょっと嬉しそうに言う。

急いで、荷物を中に入れて、玄関のドアを開けたまま、子猫を探す。

名前を付けていないので、足音を大きくして歩きながら、「お~い。お~い。お~い。」とおっきい声で言いながら、家の周りをゆっくり歩く。

近所のおじさんが、遠くから、心配そうに見ている。

二周くらいして、玄関の前に戻ってくると、お母さんが、おばあちゃんに電話をしている。

「そうなのよ。残念だけど、どこかに行っちゃったみたいで」と、話しているのが聞こえる。
ちょっと、嬉しそう。

諦めずに、もう一周する。

{弱ってるから、遠くに行けないと思うんだけどなぁ。}と思いながら佇んでいると、

家の前の溝から、子猫が、這い上がってきて、家の門をくぐって、こっちにフラフラと向かって来る。


(お呼びになりましたか?)

私が、右手を差し出すと、手のひらに乗ってきた。

急いで、両手で、そっと抱えて、
「お母さん、見つかった!」と、家の中に入る。

お母さんが、ビックリした顔をして、
「え!見つかったみたいやわ。」と、
電話を切る。
ちょっと、残念そうな顔だ。


家に入って、子猫を床に降ろすと、
ミ~ミ~と大きい声で鳴く。

お腹が減ってるんだなと思って、早速、買ってきたお皿に、離乳食を入れて前に置くと、すごい勢いで、ガツガツ食べる。
すぐに食べ終わって、また、ミ~ミ~大きい声で鳴くので、残りを入れてあげる。

結局、1缶全部食べた。
食べ過ぎなんじゃないかなぁと、心配になる。

子猫は、お腹が満たされて、ちょっと落ち着いたみたいで、眠そうだ。

「お母さん、これから動物病院に連れていくわ。夕方の部が、まだ、やってると思うから。」と、言うと

お母さんが
「え?何、言ってるの!元気なんだから、必要ないわよ。」と、反論する。

{だから、重症なんだってば。なんで、わかんないのかな。}と、
不思議に思いながら、ちょっとイライラする。

ちょっと、気を静めて、
「私1人で、連れていくから、お母さんは、ゆっくりしてていいよ。」と言うと、

「え!もちろん、お母さんも一緒に付いていくわよ。当たり前じゃない。」と慌てて答える。


前の彼女の猫用キャリーバッグを引っ張り出して、中に新しいタオルを入れて、眠たそうな子猫を、そっと入れて、行く準備をする。

お母さんが、「病院に連れていくなら、名前が要るわよ。付けてあげないと。」と、急いで用意しながら言う。

{名前、名前か。そんな急に言われてもな...本当は、ゆっくり考えてあげたいんだけどな。}

う~ん、としばらく考え込む。
2つの名前が頭に浮かぶ。

ミラ ミル

ミラは、この子には、ちょっと派手で似合わないな。気性が、激しい子になるみたいな名前だし。

ミル.....響きは、いいな。ミラに比べて穏やかそうだし。確か、ミルには、粉砕するとかいう意味があったな。
病気や災害を粉砕して、打ち勝てるように。
うん、この名前にしよう。

「お母さん、ミルにする。」

「ミル?変わった名前ね。言いにくいし。」と、ちょっと、お母さんは、不服そうだ。

用意をして、近所の前の彼女が、かかっていた動物病院に行く。

待合室で待っていると、ミルが、不安になったのか、キャリーバッグから出ようと、ツメでカリカリしている。

ミルをキャリーバッグから、そっと出して、ハンドタオルを私の左膝に敷いて、ミルを乗せる。
ミルは、落ち着いたのか、ハンドタオルの上で丸まって眠る。

「小さくて、可愛いわね~。」と、隣の柴犬を連れているおばさんが、嬉しそうに言う。

お母さんが、私の隣から、
「そうでしょう。」と得意気に言う。

{おい。}
私は、ちょっと釈然としない。

「ミルちゃん。」と呼ばれて、診察室に入る。

この病院は、大きくて診察室が、5つもある。一番奥の診察室に、案内される。

前の彼女を診てくれたことのあるベテランの女医さんだ。

女医さんは、私を嬉しそうに見て、
「どうしましたか?」と尋ねる。

私は、詳しく状況を説明する。

女医さんが、慣れた手付きで、ミルを診察していると、
「あら!この子、噛み癖が、あるわ。」
と、言いながら、上手く避けながら、続けてミルを診る。

「かなり高熱だし、弱っています。とりあえず、熱を下げて、体力を回復させないと。」と言って、ミルに点滴をしながら、

抗生物質を出しますから、飲ませてください。とりあえず、安静にゆっくりさせてください。明日も来てくださいね。しばらく様子をみないと。」と、
続けて言う。

「ノミの薬とかは?」と私が聞くと、

「回虫もいるみたいなんだけどね。弱っているから、回復してからね。」
と、優しく答える。


薬をもらって、お会計のときに、
「私が払うから。うちの猫なんだから。」とお母さんが、私を押し退けて、払う。

{いつの間に.. . . }
やっぱり、ちょっと釈然としない。

家に帰って、少し落ち着いてから、ミルの寝床を決めようとすると、

「トイレを覚えるまでは、玄関の廊下よ。」と、お母さんは、ミシン台の前に、新しいタオルを中に入れた前の彼女の猫用ベッドを置く。

「いや、でも、高熱だし。私の部屋に」と、言いかけると、

「ダメよ!トイレを覚えてからよ。」と、言って、お母さんは、早速、猫用ベッドの横に猫用トイレを設置して、ミルにトイレを教え始める。

「さあ、ミル。こうよ。」

{いや、トイレより、高熱で重病なん
だけど。}

「あの、」

「ダメよ!最初が、肝心なんだから!」




仕方なく、その日、ミルは、そこで、夜を過ごすことになった。





🐈続く🐈