ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の猫~ココの登場10~

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無用になったシェルターハウスの横で、くつろぐミル

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次の日も、その次の日もずっと、彼女は、同じように、朝晩、嬉しそうに待っている。
ただ、会うたびに、額周りの傷が増えていく。
多分、頭突きのような低空姿勢からの攻撃しか出来なくて、相手の猫のパンチか攻撃を受けるのだろう。

「ねえ、その攻撃の仕方は、危険だと思うよ。気をつけないと、そのうち、大怪我しちゃうよ。」と、心配しながら、頭を優しく撫でる。
彼女は、嬉しそうにスリスリする。

その間にも、いろいろと、会社で、ネットを使って調べまくり、頭をフル回転して考えている。
もちろん、仕事も問題なく片付けている。

さて、どうしたものか。
本当は、すぐにでも、彼女を家に入れて、飼いたいのが本音だ。

しかし、問題がある。

まず、お母さんだ。
ミルを飼うときでさえ、難色を示していて、ようやく慣れてきたところだ。
了解を得るのは、なかなか困難を極めるだろう。

次にミルだ。
やっと、怯えから解放されて、家の中でだけ、内弁慶になってきたところだ。
一緒に上手くやっていけるのか?
無理なような気がする。

あと、彼女は、子供に見えるが、多分、推定一歳になるかどうかくらいだ。ミルと、あまり変わらないだろう。多分、ミルのほうが、ちょっとばかり、お姉さんだ。
早く避妊手術をしてあげないと、彼女が苦労するだろう。
外にいるし、なかなかの美人だ。
自分の身を守るのは大変だ。
今でさえ、額周りの傷が増えていっているのだから。

私以外の飼い主を探したほうが、彼女にとっては、幸せかもしれない。
愛情も一人占め出来るし。
だとしたら、避妊手術は、しといてあげたほうが、いいだろう。
もし、飼い主が、見つからない場合でも、徐々にお母さんを説得していくのに、少し時間を稼げる。

よし、【野良猫の避妊手術】で、ネット検索してみよう。

NPO 団体の記事に、野良猫の避妊手術の記事が載っている。
ふんふん。避妊手術を、あとで糸を外さなくてもいい糸で行えば、手術後、外に離していても、大丈夫。
野良猫は、意外と強いので、心配ないと書いている。
プロが書いているのだから、間違いないだろう。

なるほど!糸処理の要らない糸で、手術をしてもらって。
すぐに離すのは、いくらなんでも心配だから、二日くらい入院させてもらってから、離せば問題ないな。
その間に、最悪の場合は、お母さんを説得して、最終的に彼女を家に入れよう。
家の応接室の外に、一時的に避難できるシェルターみたいなハウスが、売っていないか、ホームセンターで、探そう。

どこで、手術するかだな。
ミルを助けてくれた会社の近くの動物病院は、入院施設が、いまいちだから、今回は却下。
ホームページに、夜は、誰も病院にいないと書いているし、心配だ。

前の彼女(ミュウ)が、お世話になっていた家の近くの動物病院は、最新の設備と、入院の環境がいい。手術も上手いのは、分かっている。
長く経営しているので、いろんな事情も、理解してくれるだろう。
今回は、ここにしよう。
手術前に連れていって、相談しないとといけないな。
でも、連れて行けるのかな...


その間にも、お母さんの病院には、毎日、会社帰りに寄って、いつもの用事をし、様子を聞いている。

お母さんが、心臓ペースメーカーの説明書と注意事項の書いたパンフレットを私に見せて、説明する。

浅井先生と看護師さんが、それぞれ、説明してくれたらしい。

★心臓ペースメーカーは、磁気に弱いので、IH調理器や携帯電話、スーパの防犯用のバー、飛行機に乗る時の検査用のバー等、そういうものに、あまり近づかないこと。必用な時は、最低でも、20cmは、間隔を空けること。
もちろん、アトラクション等もNGだ。

★定期的に機械の点検に、この病院にくること。6ヶ月に一回、浅井先生に診てもらうことになる。
あとの普段の診察は、いつもの沼田循環器内科で一ヶ月に1回、心臓の調子を診てもらう。

★手術後、3ヶ月は、あまり左腕をあげたりしない。←たまに、ペースメーカーの線が切れて、手術をやり直したことが、あるらしい。激しい運動も控える。
(3ヶ月は、お母さんには、家で出来るだけ、安静にしてもらう。洗濯物を干したりは、手を上げる動作を伴うことは私がする。無理をさせないようにする。)

★お風呂は、あまり、長くつからない。心臓に悪いらしい。
温泉も泉質によっては、NGだ。

★退院は、浅井先生の許可待ちらしい。なかなか、慎重らしい。あとで、手術したところから、細菌が入って、大変なことが、あったらしい。機械に、細菌が入ると、再手術するしかないらしいのだ。


「お母さん、退院しても、腕をあげたり、無理なことは、全部、私がするから、3ヶ月は、気をつけてね。」と、お母さんに、優しく言う。

「本当に、いろいろと迷惑かけて、悪いわね。ありがとうね。」と、お母さんが、申し訳なさそうに言う。

{ここで、ちょっと言ってみたらどうかな。ちょっと、恩着せがましいかもだが...}と、策略的に考える。

「お母さん、あのね、実は最近、ミルの姉妹猫が、現れて、ミルに訴えかけてるのよ。ミルも、心配しちゃってて...」←かなり、嘘が入っている。

(のちに、お母さんにずっと、「姉妹猫なんて!全然、違ったじゃない。」と、言われ続けることになる。)

「まあ、姉妹猫。一緒に捨てられて、どこかで、生き延びてたのかしらね。かわいそうに。」と、信じてくれる。

「そうなのよ。で、女の子なんで、心配だから、避妊手術だけでも、してあげようと思って。その間に、飼い主を探せるしね。」と、訴える、

「でも、そんなこと出来るの?」と、お母さんが、心配して聞く。

「大丈夫。ちゃんと、調べてるし。ほら、ミルが心配して、可哀想でしょう。」と、さらに嘘を重ねる。

「そうねえ。お姉ちゃんが、そこまで、言うなら。」と、お母さんが、ためらいがちに納得する。

{やった!第一関門、クリアだ。}と、ホクホクしながら、家に帰る。

彼女が、いつものように待っていたので、カリカリをあげて、
「何とかしてあげるからね。」と、言って、家の中に入る。


その後、嘘をついたバチが当たったようだ。

用事を済ませて、彼女のお皿を引き上げようと、玄関のドアを開けた途端、
ミルが、勢いよく、外に飛び出す。

「ミル!」




🐈続く🐈