ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の研究のお仕事6

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ミュウが、4人の子供を産んだころ、
私は、大学の研究室で、卒論発表の準備をしていた。

卒論は、既に、教授のOKをもらっていたので、大学を卒業出来ることは、決まっていた。

卒論発表は、大学の大講義室で、教壇に立って、スライドで説明しながら、発表しなければならない。

学部学科の教授達、興味のある先生方、いろんな人の前での発表になる。

私は、自分の研究に、県の試験所の人にも、調査に協力してもらっていたので、県の試験所の方も、見に来られる。

だから、きちんとした発表をしたくて、頑張っていた。

私の研究室は、植物遺伝学研究室、いわゆる、バイオテクノロジーだ。
私は、教授に、テーマを与えられて、研究していた。

私のテーマは、<アスパラガスの電気泳動法による雌雄識別>だった。

アスパラガスは、大きくなるのに、数年かかる。
雌雄が、判別出来るのは、かなり成長した後からなので、苗の時期に知りたいらしい。生産性の問題らしい。
雄のほうが、いいらしいのだ。

それで、苗の時期の葉を、遠心分離機にかけて、電気泳動法によるバンドパターンから、雌雄を識別出来るバンドを見つけ出す研究だった。

私は、3種類の酵素による研究を完成させた。
3種類の試験方法は、全て自分で確立した。

試験方法や、バンドパターンを綺麗に出す方法を見つけるのは、楽しい。
時間を忘れて、大学の図書館で、英語の論文を調べたり、研究室で、いろいろな試験方法を試していた。

三つの研究を終わらせた後、私は、教授に報告した。

「先生、アスパラガスの個体は、個体個体にそれぞれのバンドパターンをもっていて、人間と同じように個性的です。一つのバンドパターンでは、ありません。雌雄のバンドなんて、この方法で、見つけられるはずが、ありません。」

私は、始めから、雌雄識別で、雌だけが、最終的に捨てられるであろう、この研究の目的に、疑問を持っていた。

だからといって、出来ないように研究したわけではない。
純粋に研究して、結果、私の望む結論が出ただけだ。

教授は、認めてくれて、試験所に協力を依頼して、アスパラガスの種類、長さ、太さ、環境等の個体の個性も調べてくれた。


実は、その3つのうちの最初に研究した一つの酵素による研究論文で、とある大学の教授が、「このバンドが、雌雄を識別出来るバンドだ。」と、既に堂々と大々的に発表していたらしい。

私は、知らなかった。
私が、卒業する前に、教授が、教授の部屋に私を呼んで、教えてくれた。

その大学教授の論文のバンドパターンを見て、びっくりした。
バンドが固まった状態のものだった。

私のは、その固まったバンドを更に、綺麗に幾つものバンドに分けたものだった。

「君は、この大学教授に、勝ったんだよ。」
教授は、誇らしげに、私に言った。

でも、私は、あまり、嬉しいとは思わなかった。

勝ち負けの問題ではないと思った。
誤った結果で、植物に、害が出るのは嫌だなとも思った。

私は、植物の遺伝子の膨大な遺伝子パターンに、感動していた。
生命の偉大さみたいなものを感じていたのかもしれない。
こんな偉大な個性を、人の手で、変えたくないとも思った。


この研究の発表会の準備のころ、お母さんから、家に電話が入った。

おかあさんは、ミュウが、4匹の子猫を産んだことや出産の状況等を、事細かに教えてくれた。

私は、すごく、嬉しかったし、誇らしかった。

何より、ミュウが無事で、元気でいることが、嬉しかった。
それだけで、十分だった。

ただ、お父さんが、子猫は、一匹だけしか、家に置けないと言っているらしかった。

それで、私は、その日から、子猫の貰い手を探し始めた。

私の研究室の後輩の男の子が、
「雄なら飼ってもいいですよ。」と、
引き受けてくれた。

さらに、私の研究室の留学生、正式には、中国の大使館から、稲の研究に来ている中国人の方が、
「私、子猫を飼いたいです。私の子供達にも、また、その猫が、子猫を産む様子を見せてあげたいです。」と、
雌を一匹、引き受けてくれた。

この方は、来年には、中国の大使館に家族と一緒に帰られる予定なので、もらわれた子猫は、いずれ、中国に行くことになる。

あと、一匹...
産まれた子猫は、おす二匹、めす二匹。

卒業まで、必死に貰い手を探したが、見つけることが、出来なかった。




🐈続く🐈