輝の研究のお仕事11
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↑ご機嫌のミル
入社の本社での挨拶も終わり、本格的に研究室での仕事が始まった。
研究室には、田嶋部長、坂本課長、丹後係長、北川さん、谷さんの男の人達と、かすみさんという女の人がいた。
かすみさんは、文系出身らしいが、開発部長のコネで、ここに入ったらしく、主に入浴剤の香りを担当しているらしかった。
しばらくして、更衣室で、かすみさんが、私に忠告?をした。
「私、谷さんと付き合ってるの。」と。
{???}
「谷さん、花田さんのこと、気に入ってるみたいだけど、勘違いしないでね。」
{???}
「あ、そうなんですか。谷さん、私に仕事を教えてくれているだけで、何とも思ってないと思いますよ。」と、
出来るだけ朗らかに努めて答えた。
{いや、ていうか、私、谷さんのこと、興味ないっていうか、むしろ、そういう対象外っていうか。むしろ、遠慮したいほうだわ...逆に、かすみさんは、谷さんでいいのかな?}
「そう?なら、いいんだけど。なんか心配になっちゃって、ごめんね。あと、私達が、付き合っているのは、内緒にしといてね。」
{いや、絶対、内緒にしといたほうがいいよ。谷さん、事務所でも工場でも、人気ないっていうか、むしろ嫌われてるし。}
「もちろんです。誰にも言いません。」と、私は、きっぱり答えた。
かすみさんから告白された日は、ちょっとカルチャーショックを受けた。
帰ってから、ミュウにこっそり話した。
ミュウになら、話してもいいだろうと思ったからだ。
「ミュウ、変わった女の人がいるんだよ。だて食う虫もすきずきって、こういうときに使うんだよね?せっかく美人さんなのにさ。」
ミュウは、{困った子ね。}みたいな顔をして、私の顔を舐めてくれる。
ミュウは、ミュウで、家で自分なりの理論で、頑張っていたようだ。
お母さんが、
「ミュウには、困ったものだわ。」と、私に話してくれた。
どうも、ミュウは、シルバーを{お外を案内してあげる。}と、家から連れ出したようだ。
シルバーは、大喜びでミュウについていったらしい。
でも、しばらくしてから、ミュウが、大喜びで、小躍りして一匹で家に戻って来たらしい。
お母さんが、
「ミュウ、シルバーは、どうしたの?」と聞くと、
{ズルの子は、ちゃんと、遠くに捨てて来ました。}と得意気な顔で答えたようだ。
ミュウにとって、生後2ヶ月も過ぎたら、子猫は、トリカゴに入って新しい飼い主を見つけなければいけないルールが当たり前になっている。
自分が、そうだったからだ。
✳️【ふてくされた子猫との出会い】をお読みください。
お母さんは、慌てて、自分のスクーターに乗って、ゆっくり走らせながら、
「シルバー!シルバー!」と叫びながら、団地を探しに行ったらしい。
家から随分遠いところで、お母さんの声とスクーターのエンジン音に気づいたシルバーが、ヨロヨロと出てきたところを捕まえて、家に連れて帰ってきたらしい。
シルバーは、かなり疲れきって、ぐったりしていたようだ。
{これじゃあ、ヘンゼルとグレーテルみたいだわ...}と、
私は、ミュウとシルバーを見る。
ミュウに言っても分からないだろう。
ミュウの頭の中では、シルバーとライサーは、ルール違反のズルの卑怯な猫なんだろう。
2ヶ月過ぎたら、もう、子育ては、おしまいなのだ。
それまでは、ミュウは、甲斐甲斐しく子育てをしていた。
シルバーは、まだ幼いけど、あと1ヶ月もしたら、たくましくなるだろう。
シルバーは、お利口さんだし。
私と、ミュウ、それぞれで、新しい生活を悪戦苦闘しながら、始めたのだった。