ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の研究のお仕事10

↑カテゴリー別のタイトルで編集しています。【輝の1番目の会社のこと】【輝とミュウのこと】【日向とミュウ】をそれぞれクリックすると、1番目の会社の話し、ミュウの話しだけが、見れます。🐈


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シルバーとライサーを家で飼えることになって、ミュウと3匹で一緒に暮らせるようになって、楽しく過ごしていた。

お父さんもお母さんも、3匹にメロメロで、甘やかし放題になっていた。

少し落ちついた頃、私の会社の入社日になり、初めての会社勤めが始まった。

私の初めての会社、クィーン化学株式会社は、本社が大阪にある。
私は、家のある地元の工場のほうに通う。

敷地内には、商品を生産する工場と事務所、そして、私が働くことになる研究室がある。
そして、少し離れた場所に試験所がある。

入社日は、本社のほうで行われた。
この時代は、就職氷河期だったので、新入社員は、私を入れて3人しかいなかった。

本社勤務の事務で働く女の子と、同じく本社勤務の営業で働く男の子だ。

女の子は、葉子ちゃんで、気が合いそうなしっかりした感じの子だった。

男の子は、何故か、トランプの柄のシャツを来ていた。

何か変な奴って印象を持ったが、本社勤務の奴だから、別に関係ないやと思って、気にしていなかった。

社長の挨拶を聞き、簡単な説明を受け、みんなの前で紹介されて、その日は、終わった。

社長も本社の人もみんな優しくて、いい会社に入れて良かったと、つくづく感じ入っていた。


葉子ちゃんは、
「この後、一緒にお茶でもしたかったけど、あの人も一緒になるから、またね。」と、そのまま帰ってしまった。

{あの人、つまり、トランプマンのことか...確かに、私と違って、葉子ちゃんは、本社勤務だからかな?}と、妙に一人で納得して、別れた。

この日は、金曜日で、土日は、休みだったので、私は、おばあちゃんちに泊まって、ゆっくりして土曜日に家に帰ることになっていた。

{じゃあ、早速、おばあちゃんちに行こうかな。}と私は、嬉しげに本社を後にした。

電車に乗ろうとすると、何故か、トランプマンが付いてくる。

「危ないから、途中まで送りますよ。」と、トランプマンが言う。

{危ない?まだ、昼間なんだけど。}

「いや、おばあちゃんちに行くから。」と断ったが、ずっとついてくる。

とりあえず最寄りの駅までの切符を買おうと、路線図を見る。

{ん?私、今まで、お父さんに車で、連れていってもらってたから、行き方が、ちょっと..}と佇んでいると、トランプマンが、

「どこになるんです?」と聞くので、素直に答えると、最寄りの駅を教えてくれた。

「ありがとう。」と、切符を買って改札口に行くと、トランプマンが、まだ、ついてくる。

「もう、大丈夫ですよ。」と、言っても、おばあちゃんちまで、送ると言って、ついてくる。

最寄りの駅に着いて、
「じゃあ、これで。ありがとう。」と言っても、乗るバスを探して、一緒に乗ってくる。

移動中、別に、そんなに話さない。
ただ、ついてくる。
トランプマンが、何か話していたのかも知れないが、私が、トランプマンに感心がまるでなかったようで、何も記憶に残っていない。

{ふ~ん、変わった人もいるもんだな。}という印象しか残っていない。

バスを降りて、また、私が迷っていると、トランプマンが、また、方向を教えてくれた。

私は、方向音痴だった。

やっと、おばあちゃんちの家に着いた。

すると、トランプマンは、
「それじゃ、ここで。」と、去っていった。

「ありがとう。」とお礼を言ったが、

{何だったんだろう?単に、私が頼りなさそうで迷子になりそうに見えてたのかな??}
頭の中は、???で一杯だった。

しかし、それよりも、おばあちゃんに会いたいほうが大きくて、すぐに忘れて、扉を開けた。

「おばあちゃん、来たよ!」

おばあちゃんは、満面の笑みで出迎えてくれた。

「輝ちゃん、スーツが、よお似合って。もう、立派な社会人やなぁ。さあ、就職祝いや。今日は、ご馳走やしな。上がって、ゆっくりしよう。」と、私を家に上げてくれた。

その日は、焼き肉にしてくれていた。
おじいちゃんとおばあちゃんと3人で、楽しくおしゃべりしながら、いっぱい食べた。

そのときに、やっと、トランプマンのことを思い出して、送ってくれたことをおばあちゃん達に話した。

おばあちゃん達も、
「それは、変わった子やけど、まあ、親切な子やな。心配やったんやろう。」と言ってくれた。

葉子ちゃんとも、トランプマンとも、その日以来、結局、私は、会うことがなかった。

後に、葉子ちゃんは、一年もしない間に会社を辞めたと聞いた。
何故辞めたかは、詳しく知らないが、何かトラブルがあったらしいということだけを聞いた。

トランプマンも、数年後に会社を辞めた。
金持ちの女の人と結婚して婿入りしたので、その家の事業を継ぐので会社を辞めたと聞いた。


今でも、トランプ柄のシャツだけを思い出す。