ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の会社の人 -キツツキさん3

↑カテゴリー別のタイトルで、編集しました。【輝の4番目の会社のこと】をクリックすると、4番目の会社の話だけが、出ます。🐈






「おはよう、花田さん。これ、お土産。サービスエリアで美味しそうだったから、買ってきたんや。」
と、米山本部長が、美味しそうな苺のバームクーヘンを私に渡しながら、笑う。

「いつも、ありがとうございます。」とお礼を言って、微笑む。

「良かったなあ、花ちゃん。そこらじゅうから、いつも美味しいもん、もらえて。」と西山所長が、笑う。

本部長と所長が、事務所の来客用のテーブルに向かい合って座る。
私は、2人にコーヒーを入れてテーブルに置いて、自分の席に座る。

本部長は、よく営業所にお土産を持って訪れ、いろんな世間話をして、そして、所長とお昼ご飯を食べに行って、本社に帰られる。

今日も、自宅でのお食事会の料理のことや、最近行かれた旅行の話しをなされた。
本部長は、料理がお得意だし、旅行が、お好きで、しょっちゅう奥さまとそこらじゅうに行かれる。

「そうそう、花田さん。佐久間くんが結婚することになってな。」と、本部長が、突然言う。

{あ!じゃあ、やっぱり、本社で、順調に、仕事してたんだ。}と安心して、

「それは、おめでたいことですね。」
と、喜ぶ。

所長が、「え、佐久間、結婚するんですか?相手は、どんな人です?」と、
慌てて聞く。

西山所長は、いつも心配性だ。

「うん、うちの本社の取引先の娘さんだ。ほら、菱形商事の。」と答える。

所長が、「菱形商事のって、うちの技術のやつと結婚してませんでしたっけ。」と不審そうに聞く。

「ほら、それは、次女のほうだ。佐久間君は、長女のほうと結婚して、将来、会社を継ぐらしい。」

「え!すごいですね。」と私は、喜ぶ。

{佐久間さん、逆玉の夢をかなえたんだ。すごいな。あんなに何回も言ってたら、夢ってかなうもんなんだな。}
私は、1人感心する。

所長が、「技術のやつは、継がないんですか。佐久間は、婿養子になるってことですか?どうやって、結婚することに、なったんです?」と更にいろいろ聞きまくる。

{所長は、しつこいなぁ。単純に喜んであげれば、いいのに。}

「技術のやつは、ほら、営業じゃないから、継ぐのは辞退してな。そいつも、佐久間も、別に婿養子になるわけじゃあないよ。それで、まあ、あれだ。会長が、菱形商事の社長に、“こんな若者が、いるんだが ”って、佐久間君を紹介したわけだ。」と本部長が、答える。

{さすが、会長。お目が高い。}

「紹介って。会長、前にも、あの部長を紹介して、なんか大変なことに、なってませんでしたか?」と所長は、心配する。

{もう、所長、心配しすぎだよ。佐久間さんは、美形らしいから、そんなことはないって。}

「まあ、お前、あれや。あれは、いろいろ事情があったんや。まあ、今回は、大丈夫や。なあ、花田さん。」と私に救いを求める。

「もちろんですとも。」と、私は、満面の笑みで、答える。

米山本部長が、帰られた後も、西山所長は、ブツブツ私に心配事を言い続けていた。

私は、{しつこいなぁ。心配しすぎなんだって。マイナス思考なんだから。}
と思いながら、聞き流していた。


私は、早速、可愛い祝儀袋を選んで、結婚祝いを、ささやかながら社内便で送った。

お祝い、渡す時期ってマナーあるんだっけ?でも、会社にいなくなったら、もう渡せないしな。まっいっか。佐久間さんは、まあ、こいつのやることだし、ってマナー違反でも、許してくれるだろうし。って感じで、送った。

佐久間さんは、すぐに会社から電話してきてくれた。

「やあ、花田さん、久しぶり。お祝い届いたわ。ありがとうな。花田さんのときは、3倍にして返すわ。」

{ん?ちょっと少なすぎたか。相場だと思ったのだが...}

「いえいえ。それより、佐久間さん、すごいですね。将来は、社長ですね。おめでとうございます。」

「いやぁ、まあ、田舎の会社だしな。それより、ごめんな。将来は、所長になって、そっちに戻ろうと思ってたんだけど....会長に、言われてさ。」

{ん?所長に?なんで、夢が小さくなってんだ?あ、そうか!私に気を遣ってるのか。}

「いえいえ。そんな気を遣わなくていいんですよ。本当に、おめでとうございます。」と私は笑う。

「いや。まあ。ありがとう。」と佐久間さんは、答える。

仕事が忙しいのかもと思って、
「じゃあ、また、機会があれば、営業所に寄ってくださいね。」と、
私は電話を切る。




私は、男版シンデレラストーリーを頭に描いて、1人幸せな気分に浸っていた。
でも、何故か、頭の中では、美女と野獣の音楽が流れていた。





🐈続く🐈