ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の営業所の変化5~4番目の会社のこと

↑カテゴリー別のタイトルで編集しています。【輝の4番目の会社のこと】【輝とミルのこと】をそれぞれクリックすると、4番目の会社の話し、ミルの話しだけが見れます。🐈

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寝落ち寸前のミルの顔


西山所長が、総務の森山部長にバカでかい金額の全面改装リフォームの見積りを提出して、総務部長に悲鳴をあげさせてから、ずいぶん日が経った。

総務部長は、呆れてしまったのだろう。
冬野本部長のせっかくのご厚意には申し訳ないが、この話は流れたと思っていいだろう。

新しい所長になる福山さんが来られる前に、せめて、机だけでも新しいものをプレゼントしたかったのだが、仕方ない。

私は、諦めていた。
何事もタイミングというものがある。今は、時期じゃなかったのだろう。

そう思っていた矢先、会社の電話が鳴る。
冬野本部長だ。

本当に本部長は、いつもナイスなタイミングで、電話をくれる。

「冬野です。」

「あ...」
私は、いつも戸惑う。

「お疲れ様です。」
いつも、本部長から言ってくれる。

「あ..おつかれさまです。」
私は、いつも、たどたどしい。

「西山所長は、いますか?」

「いえ、出てしまっていて....」
私は、申し訳なさそうに答える。
上手く、会話が続かない...

「いや、別に慌ててないんだ。また、こちらから携帯にかけるからいいよ。」と優しく言ってくれて電話を切る。

前から不思議に思っていたのだが、何故、冬野本部長は、会社の方に電話をかけてくるのだろう。

始めから直接、所長の携帯にかけたほうが、本部長には手間を取らずに、早いような気がするのだが...
私は、本部長に無駄な時間を取らせてしまっている気になる。

特に、私は、本部長との電話対応が下手だし、いつも所長に取り次ぐか、いないと答えるだけだ。

それとも、会社に一旦電話をかけるというポリシーとかがあるのだろうか?
上の人になると、何かあるのかもしれない。

うん、本部長ともなると大変なんだな。いろいろ責任も重いし、会社のことを任されてるんだしね。
私には分からない何かがあるのだろう。


夕方まで、淡々と仕事をしていたら、4時過ぎにやっと所長が戻ってきた。

「お疲れ様です。本部長から電話いきましたか?」

「いや、本部長から電話はないけど?」

あれ、おかしいな?

「そうですか?あとで携帯にかけると言われてたもので..慌てないとか言っていたからかもしれません。」と、私は、答える。

「かけてみるわ」と、所長が本部長の携帯に携帯からかける。

しばらく話して電話が終わって、
「明後日、昼から本部長が来るらしいわ。なんか、話があるらしい。」と、所長が、私に教えてくれる。

「話?リフォームがダメだったとかの?」

「いや、それは無いやろう。それやったら、電話で済む話や。新しい所長が来れなくなったんちゃうか。」
所長は、嬉しそうに答える。

{え~、また、状況変更かぁ..}

私は、がっかりする。


2日後になって、

私は、1時からソワソワする。
何の話だろう?怖いな。
仕事が手につかない。

2時になっても本部長は、来ない。

「遅いな!何時に来るつもりや。」
所長が、苛立ってくる。

本部長は、時間に正確な方なのに、おかしいな。

2時半を過ぎて、本部長の車が営業所に着いた。

あれ、今日は一人で、しかも、車なのか。

「おつかれ!」
本部長が、慌ただしく事務所に入ってくる。

「おつかれさまです。」と、私は、慌てて、こたえる。

{え~と、応接室に..あれ?}

本部長は、ズカズカと歩いていって、営業所の窓際の来客椅子にドカッと座ってしまう。

{あれ、疲れてるのかな?とりあえずお茶でも。}

私は、急いで給湯室に行って、お茶を淹れる。

お茶を用意して、来客セットの所に行くと、所長が対面に座って、もう、話が始まっている。

{え~、ここで話すの?}

お茶を出して、来客セットに程近い自分の席に静かに戻って座る。

否応なしに、会話が聞こえてくる。
当たり前だ。
至近距離なんだから。

「だから、リフォームで、そんなにお金を出すなら、社長は、駅に近いテナントを借りたほうがいいのじゃないかと。固定資産税を払うより、家賃のほうが経費になるしと。」
冬野本部長が、説明している。

{え~!リフォームから、なんで、そんな話になっちゃってるの~?}

私は、呆然とする。


🐈続く🐈