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あんなメール、入れるんじゃなかった。
メールを入れた翌日からの三連休、私は、ひたすら後悔する。
冬野本部長が、怒っていないのが分かって安心したが、同時に冬野本部長が、かなり気にしていることが痛いほど分かった。
{俺は、間違ってないよ。後々には、そのほうが絶対にいいんだ。俺は、君のことをちゃんと考えて出した答えだ。理解してほしい。}
本部長の心の声が、頭に浮かび続ける。
本部長には、かなわない。
本部長は、私の1枚も2枚も、いや、何枚もうわてだ。
私には見えていない先のことまで見透せる。
私は、まだ、目先のことしか見れない部分がある。
{いつまでも、このままではいられないよ。}
分かっている。
でも、どうしたらいいの?
あのことは?このことは?
状況は、刻一刻と変わっていく。
とどまれない。
{言い訳に過ぎないよ。君は分かっているはずだ。}
本部長の心の声が聞こえる。
答えが分からない。
どうしたらいいか分からない。
いや、多分、分かっているのだろうが、まだ、見たくない。
怖い。
自分自身の問題だ。
自分にしっかりと向き合わなければならない。
ごまかさずに、本当の自分に。
分かっている。
窮屈なんだ。
今の居場所は、もう、私には小さすぎる。
羽を広げられないんだ。
でも..
リフォームしたら、変わるかも。
新しい所長が来たら、変わるかも。
それに、今は、事務所を移転したくない。残してあげておきたいんだ。
まだ、希望を繋ぎたいんだ。
移転せずにすむなら、リフォームなんかしなくてもいい。
ほんの少し、かけらだけでも残しておいてあげだい。
{どうせ、リフォームなんか出来ないでしょう?期待なんかしないわ。いつも、言ったことを実現できた人なんかいなかったわ!}
私は、冷たく心の中で言い放つ。
{そうよ。いつものことよ。}
しばらく、私は、諦めと後悔と無力感と安心感といろんな感情をまぜこぜにした状態で過ごした。
どうにでもなれ。
なるようにしかならない。
そんな日々を過ごしていると、会社の電話が鳴った。
「はい。ハレルヤです。」
「冬野です。」
本部長だ。
本部長の声は優しい。
私は、本部長の声が好きだ。
本部長の声は、落ち着く。
「おつかれさまです。」
私は、嬉しくなって、明るく答える。
「おつかれさまです。」
本部長の声は、優しい。
{本部長の声は、ずっと聞いていられる。心地よい音色だ。}
しばらく時間を開けてから、
「所長は、いますか?」と、本部長が言う。
「はい。お待ちください。」
私は、所長に電話をつなげる。
「いい机と椅子を見つけたんだ。総務の神川が見つけてくれてね。」
本部長が、上機嫌で所長に話し始める。
「だから、什器のほうは今の見積りから外して、その上で更に30万を値切ってくれ。出来るはずだ!」
本部長が、所長に命令する。
電話を終えた所長は、不機嫌だ。
「そんなん言われても。こっちで全部、任せてもらわんと。什器を外した上に、もっと安くしろなんて言えるかよ。」
所長は、ブツブツ言い続けている。
本部長の命令は、絶対だ。
営業は、従わないといけない。
嫌でも、所長は、リフォーム会社の担当に交渉して、何としてでも、そうしなければならない。
本部長は、頑張ってくれている
何とかリフォームをしてくれようとしている。
その気持ちだけで十分だ。
社長と社長室の田城室長から、金額を提示されたのだろう。
正確には、田城室長の意見だろう。
冬野本部長と田城室長の関係は、微妙だ。
田城室長は、本部長のことを煙たがっている。
いや、妬ましいのだろう。
田城室長は、経営サイドで社長の片腕だが、社長は、どちらかというと冬野本部長のほうが、好きだ。
逆に冬野本部長は、室長のことを気にかけていない。
本部長は、実戦の場が好きなのだ。
そのほうが、自分の性に合っていると思っている。
私は、もちろん、田城室長より本部長のほうが、好きだ。
田城室長には、何か冷たい、受け入れられないものを感じる。
このことが、後に田城室長から私への遠回しの嫌がらせにつながっていく。
それでも、私は、田城室長には従えない。
私がかなわないのは、冬野本部長だけなのだ。