ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の営業所の変化11~4番目の会社のこと

↑カテゴリー別のタイトルで編集しています。【輝の4番目の会社のこと】【輝とココのこと】をクリックすると、4番目の会社の話、ココの話だけが見れます。🐈


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↑ココは、いつも、私を癒してくれる。🎀


リフォームが決まって、改めてリフォーム会社の櫻井部長が、内装のリーダーを連れて、打ち合わせにやってきた。

新しい営業所は、次期所長になる福山さんの営業所なのだから、全面的に福山さんにお任せしよう。

私は、そう、考えていた。

福山さんの営業スタイルで好きにしてもらったらいい。
所長が、決めるものだから。

営業所の移動の話しや、倉庫を無くす話し、さらに話が飛んで、都会と田舎の話しで、カ~ッとなって冬野本部長と子供のケンカみたいになってしまったが、別に私は、営業所を自分のしたいようにしたい訳ではなかった。

得意先の中には、私を次期所長に願う人も多い。
実際、面と向かって言う人も多い。

自分でも、どうなんだろうと考えてみることもあった。

だけど、本部長に、感情を剥き出しにされて、今まで、自分で覆っていたものを、一気に剥がされた。

本部長に、カ~ッとなったのは、見たくないものを見なくてはいけなくされたから。
向き合いたくないものに向き合わなければならなくなったからだ。

行き場のない怒りを本部長に向けてしまった。
ただの駄々っ子だ。

隠しておきたかったもの、向き合いたくなかったもの、それは、自分自身だ。

誰も関係ない。
自分自身の問題だった。

本部長だって関係ない。
お門違いなのに、本部長は、分かった上で付き合ってくれていた。

冷静になって考えると、本当に申し訳なかった。

自分で解決するしかないことなのに。

【自分との対峙】

一番恐ろしくて、難しい。
ずっと逃げて蓋をしていたものだ。

だけど、はっきり感じる。

{ねえ、もう時期が来たよ。}

そう、きちんと自分と向き合おう。
私は、本当は、今までどうだったのか。
本当は、どうしたかったのか。

あのとき、私は、本当は、どう感じていたのか。

私は、何から逃げているのか。

答えを出せる時期に来ている。

とりあえず、私は、ここの所長になりたい訳ではない。

私は、お客様や仕入先の人達、まわりの人が大好きだけれど、それは、違うのだ。

だけど、リフォームはやり遂げてみせる。

田城室長には、カチンとくるし、営業所は次世代に残したいから。

冬野本部長のため?
ううん、これは、違う。

冬野本部長は、そんなことを望んでいない。
本部長は、自分で何とか出来る人だ。
本部長は、私よりひと回りもふた回りも大きい人だ。

本部長は、そんなことより、私が笑顔で喜んでいるほうが、嬉しい。
むしろ、頼ってほしいほうだ。

いろいろ考えていたら、所長が私を呼ぶ。

「花ちゃん、何してるんや。早く、こっち来い。おまえがメインやろうが。」

「は?」

「さあ、どうぞこちらへ座ってください。私は、こっちに座りますから。」
と、福山さんが、櫻井部長と内装担当のリーダーの若林さんの向かいの席に所長と私を誘導して、自分は、端の方に座る。

「....」

「まず、リフォームの日程ですが、こちらでどうでしょう?」櫻井部長が、話し始める。

実は、2月後半から、会社のシステムのソフトが、10年ぶりに新しいものに変わることになっている。

ただでさえ、システム移動で、がたつくことが容易に予想されている。
しかも、月末の締め日等が入る。
混乱は、必須だ。

それなのに、リフォームをしながら、この中で、仕事を続けなくてはいけない。

配線やLAN接続に設定等をICTに頼らずに、それも、自分でしながらだ。

{トラブりそうだな...}
私は、遠い目をする。

「この土日を空けていますので、この日までに、ものを退けておいてください。」櫻井部長が続ける。

{この日までにものを ...}

私は、さらに遠い目をする。

{退けるもの ...え~と、ディスクが6つに、脇机が7つ、カウンターに、背の高いカタログ入れが6つに、いや、あと2つ、え~と、重たい金庫に応接室のセットと細々したものが...}

私は、現実逃避したくなる。

櫻井部長が察して、
「重たいものは中央に寄せといていただくか、中身だけ空にしてくれていただければ、こちらで移動させますから大丈夫ですよ。」と言ってくれる。

{中身だけ空にって..カタログは、パンパンに入ってるし...}

重労働が目に見えて、気が重くなる。

「どうですか?いけそうですか?」
福山さんが私に尋ねる。

{なぜ?私に聞くのだろう?}

私は、府に落ちないが、
「何とかしましょう。」と答える。

「では、壁紙と床を決めましょう!」

若林さんが、気分を変えようと明るく言いながら、サンプルを取り出す。

「福山さんが決めてください。」
私は、促す。

福山さんの営業所になるのだから、好きなものを選んでもらわなくては。

「いえ、私は、色はあんまり...」

「....」

私は困って、所長の方を見る。

「俺も色はわからん。おまえが決めろ。」

福山さんは、「どうぞ、どうぞ。」と私にサンプルを押しつける。

{ふ~。}
私は、目を閉じてから、

「プロの目から見て、どれがいいとを思います?」
アドバイスを求めて、若林さんに尋ねる。

「壁紙は、こちらのあたりがいいと思いますが?」

「ちょっと薄い感じになるかな?」

「では、こちらのでこぼこの入った方は?よく、使われていますよ。」

「ええ、オーソドックスな色で落ち着きそうね。」

「床は、こちらの4点からどうでしょう?」

「汚れが目立たないようにしたいから、一番濃いのにしたいけど、濃すぎるかしら?」

「いえ、実際に敷いたら、明るい感じになりますよ。」

「じゃあ、これで。」

「敷居は、白が引き立つようにこれにしましょう。」と、櫻井部長が嬉しそうに急に言う。

「ええ、いい感じね。」と、私がうなずくと、

「かなり、雰囲気が変わりますよ。ガラっと明るくなります。」

櫻井部長は、すごく嬉しそうだ。

私も、何だか楽しくなってきた。
インテリアを変えたり、模様替えというものは、楽しいものだ。

イメージが広がる。

「応接室の天井の色は、変えますか?」若林さんが提案する。

「そうね。ビジネスをバンバン決めれる部屋にしたいわ。ここは、男っぽい部屋に。」

「では、天井は、この色に。」

「そうね、いいわね。床は、ここは福山さんに決めてもらいましょう。仕事をバンバン決めてもらわないといけませんからね。」と、私は、怖じ気づく福山さんに決めさせる。

もっと、次期所長の自覚をもってもらわなくては。

なんとか決めた福山さんは、嬉しそうだ。

良かった。福山さんも、きっと、いっぱい仕事を決めてくれるだろう。

私は、楽しくて、期待に胸を膨らませがら、内装を決めていった。