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↑ミルちゃん、優雅ね。😸
最近、ほよよんと、ミルとココが、幸せそうにくつろぐ姿を見て、私も幸せに浸りきっていた。
{あ~、のどかだな。幸せ。}
営業所のリフォームも終わり、かなり月日が経って、三人体制にも慣れきって退屈さを感じている頃だった。
{ていうか、冬野本部長、リフォームのあと、全然、見に来てくれないんだよな。つまんない。}
冬野本部長に、リフォームした営業所を案内して自慢したかった私は、ふてくされていた。
そんな平穏に過ごしていたある日、小山部長から、
「明日の朝、全体朝礼があるので、拠点はzoomで出席するように。」と突然、通達があった。
全体朝礼は、社長が話す。
「え~、何なんですか?急ですね。いつもは、一週間前には知らせるのに。」
私は、面倒くさそうに、西山所長にブーたれる。
西山所長は、不安そうに、
「何やろう?部長に電話して聞いてみるわ。」と、慌てて答える。
「zoomって珍しい。いつもは、iPadなのに。」
私は、不思議そうに言う。
「そうですよね。」
福山さんも、心配そうに言う。
所長が、小山部長に電話して聞いている。
電話が終わって、納得出来ない顔で
「部長も、知らんらしいわ。」と、ポツリと言う。
何なんだろう?急なことだから、ろくな知らせじゃなさそうだ。
私は、{やれやれ、束の間の平穏も、おしまいか。}と伸びをする。
翌日の朝、zoomには、社長ではなく本部長が映っていた。
{... なんで?}
私が、不思議そうにしていると、福山さんが、
「社長は、東京の方に行っているみたいです。」と、教えてくれる。
冬野本部長は、書類を持って立っている。
{久しぶりに見る..本部長、水色のカッターシャツに濃い青色のネクタイだ。青が好きなんだな。前も青色をchoiceしてた。よく、似合っているな。}
私は、本部長が話し始めても、発表の内容より、本部長を楽しく観察していた。
突然、本部長の発した1つの言葉に、我に返る。
「今、何て言いました?会社が変わるとか言いませんでしたか?」
私は、慌てて、福山さんに尋ねる。
私の会社は、3部門で構成されている。
冬野本部長率いる部門、遠野本部長率いる部門、田城室長がトップを兼ねている部門だ。
今回、田城室長率いる部門を、その部門で有名なT会社と、新しい会社を設立するという話しだった。
「社員は、どうなるんです?今の会社の籍ですか?」
私は、心配して福山さんと所長に聞く。
「出向やろう。大丈夫や。ちゃんと、向こうの会社と話しがついてるんや。」と、所長が安心させるように言う。
「でも..新しい会社名が..」
そのとき、画面から、本部長が、
「株は、20%を持つことに」と話し始める。
「20パーセント!!そんなの、何も出来ないじゃないですか?」
私は、2人に訴える。
「大丈夫やって。」
所長が、安心させるように言い続ける。
{大丈夫って...向こうのT会社の籍にもならない、全くの別会社になるんじゃ。これは、確か、会社分割だ。そう、新設分轄ってやつだ。しかも、持分が、20%なんて。}
部門まるごと、手渡したんじゃない。
私は、唖然とする。
あの部門に、何人いたんだろう。
かなりの人数のはずだ。
「社長は、それぞれの部門の将来のためを思って、このような決断をした。それぞれの部門の明るい未来のために。」
冬野本部長が、書類を見ながら、社長の伝言を読み続けている。
田城室長の部門は、確か、ずっと成績が良くなかった。
違う部門に興味のない私は、あまり、気にしたことがなかった。
田城室長が、その部門のトップを兼ねていることも、その日、福山さんが教えてくれて、初めて知った。
田城室長は、名前だけ兼ねているのか、その部門のために、何かをしている印象が、全く無かったからだ。
{え?まさか、田城室長、それで、うちの営業所に目くじら立てて攻撃してたの?}
{え?え?え~?}
{え?この話が決まったから、それで、本部長、リフォームのあと、急に見に来なくなったの?}
{え~???}
訳がわからない。
書いてあった社長の伝言を読み終えて、書類を下ろした本部長が、
「突然だから、よく、分からないだろう。かいつまんでいうと、C部門が新しい会社になるってことだ。」
と、優しく話す。
「何か質問は、ないか?俺に分かる範囲で答えるよ。」
{そう言われても、他部門のことに、しゃしゃり出るわけには..}
本部長は、ふっと優しく笑いながら、言う。
「まあ、他の部門のことでもあるしな。」
{本部長は、何でもお見通しだ..}
「俺は、今日、社内にずっといるから、個人的に聞きたいことがあれば、いつでも来てくれ。電話でも構わない。俺に分かる範囲で答えるから。」
{本部長は、優しい。男らしい。でも、私は、聞くことないな。}
全体朝礼が、終わって、三人で話し続けていた。
福山さんにメールが入って、
「C部門の佐藤からです。新しい会社の籍になるらしいです。」
「...」
私は、無言だ。
所長が、小部屋に貼っている会社の組織図表を見に行ったが、しばらく戻ってこない。
かなりしてから、戻ってきて、
「かなりの人数が、うちの会社から減るな。」
と、ポツリと言う。
私は、なんとも言えず、所長を見て、ため息をつく。
C部門は、東京にあるので、社長が、直接、説明に行ったのだろう。
平穏な時間は、長く続かないものだ。
平穏なときは、せめて、平穏な時間を存分に味わって楽しもう。
それにしても、今日の本部長は、かっこよかったな。
{あ~、もっと、本部長の観察をじっくりしたかったな。今度は、いつ、見れるんだろう。}
本部長の青色のシャツを思い浮かべながら、
{青空の色、いや、海の色かな。海に光が反射して..}
と、私は、楽しく想像を膨らませていく。