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西山所長の退職の日が、近づいてきた。
来月の10日が、最終日だ。
西山所長は、65歳になるので、定年退職だ。
私の会社は、一応、60歳で一旦、定年退職になる。
それ以降は、一年ごとに契約更新となる。
所長は、密かに、自分は70歳までいられると思っている。
自分は、会社に必要な人物だと思っている。
また、あと一年お願いしますと社長から言われると思っているのだ。
10日まで、あと1ヶ月を切った。
私も、そんなことも起こりうると思っていた。
社長は、仕事のことが分からないから、そう考えるかも知れない。
人事のことは、社長が決める。
社長の会社なのだから、私は従うだけだ。
しかし、最近の所長の言動は、目に余る。
福山所長代理を子分のように扱い、好き勝手している。
あれしろ!これしろ!
あそこ行こうか!
後で、これやっといて。
やりたい放題だ。
福山さんも、はい。はい。とはひたすら、従っている。
所長代理というよりも、所長の腰ぎんちゃくだ。
お昼も毎日一緒に2人で、所長の食べたいものを食べに行ったり、買いに行ったりしている。
よく、我慢できるなと、ほとほと感心する。
一年だけだと割りきっているのだろうが、私なら出来ないことだ。
ラストスパートかのように、所長の横暴は、ひどくなっていく。
多分、福山さんがギブアップしたら、自分は、まだ残れると思っているのだろう。
それほどまでに、所長の未練はすさまじい。
正直、見ていられない。
普通は、あとに残るひとたちのためを思って行動するものだ。
あさましいと思う。
入院したこともあって、有給休暇もあまり残っていないが、休む気もなさそうだ。
会社に来ても西山所長は、何も仕事をしていない。
机に座って、新聞を読んでいるか、福山所長代理にごちゃごちゃ言っているだけだ。
いったい、いつまで、こんな状況が続くんだろう。
私のストレスもひどくなり、夏から体調に現れだしている。
酷いのは、目だった。
眼精疲労なのか、目を開けるのがつらくなった。
実際、眼精疲労もあって、眼医者の先生は、パソコン用の眼鏡を処方してくれた。
だけど、眼自体に何も異常はなかった。
先生は、心配そうな顔で、「私には、これしか出来ないけど、また、何かあったら、いつでも来てください。」と、子供の夜泣きかんむし用の漢方薬を一週間分出してくれた。
効きすぎで、お昼に飲むと、2時くらいから眠くなりすぎて、仕事が出来なくなるくらいだった。
眼は、パソコン用の眼鏡と一週間分の漢方薬で、すっかり治った。
今、考えると、あれは、私の体からのお知らせだったのだろう。
先生は、分かっていたのだ。
そんな状態のなか、ついに小山部長から、福山所長に電話が入った。
西山所長の送別会の話しだった。
私は、これまで、小山部長と西山所長と飲み会をしたことがない。
忘年会も新年会もなかった。
いつも、部長と所長の2人だけでしていた。
だから、今回も、3人だけで送別会をすると思っていたので、私は、最終日に花束でも渡して終わろうと思っていた。
だから、福山さんから、相談を受けたときは、少し驚いた。
部長が、私も参加するようにと言っていたからだ。
所長の最後だからと思って、私は、引き受けた。
正直、あまり、乗り気ではなかった。
花束だけ渡して、終わりたかった。
しかも、4人分の会費を3人で折半すると聞いたときは、ちょっと嫌だった。
私は、お酒を飲めないし、何故、上司と同じ金額なのだろうかと素朴に疑問に思ったからだ。
さらに、福山さんに、最終日の花束を2人で折半したいと言われたときも、理不尽に思った。
でも、最後のことだからと、私は、了解した。
だけど、胸のなかのモヤモヤは残った。
送別会の日は、12月3日に決まった。
次に、所長と長年の付き合いのある剛鉄会社の高田支店長から所長に電話が入った。
是非、最後にごちそうさせて欲しいと。
何故か、支店長は、良かったら是非、私もと言ったらしく、所長も行ってほしそうにしていたので、乗り気ではないが、まあ、最後だからということで、引き受けた。
こちらは、11月29日だった。
こちらの店選びは、何故か私がした。
年末にかけて、今年は忙しそうだなとぼんやり考えていたところ、今度は本社の冬野本部長から西山所長に電話が入った。
所長に話があると。
本部長は、11月17日に営業所に来ることになった。
思い出す。
一年前のこのあたりだ。
そう、ボジョレーヌーボーの解禁日。
冬野本部と営業所のリフォームのことで、盛大にバトルした日だ。
あれから一年か。
リフォームも無事終わったけど、本部長は、あれから、ここに来れていなかった。
会って、きちんとお礼も言えていなかった。
来たら、リフォームしたところをいろいろ見せて喜んでもらおうと、いつ来るのかな?と楽しみに待っていたが、コロナのこともあって、なかなか本部長は来なかった。
もう、興味ないのかなと半分、ふてくされていた。
あれから、もう、一年も経つのか。
きちんと掃除して、綺麗にして、おとっときの珈琲カップも出して、お迎えするぞ!
私は、緊張と嬉しさと、また、来れないんじゃないかとの不安と、さらに、また、悪い知らせを持って来るかもという恐怖と、いろんな感情が錯綜して、落ち着かなくなっていった。
~つづく~