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↑どうしたの?のココ
4番目の会社、株式会社ハレルヤのとある営業所に勤めて、かなりなる。
私の営業所は、私と所長の2人だけだ。
所長も、もうお歳だ。
そろそろ引退の歳が近づいてきた。
所長は、
【自分がいるときだけ、この営業所がもてばいい。あとは、知るか。】という考えの人だ。
だから、営業所が古くなってきても、「直すとか言って、もう、この営業所を無くしますか?とか社長に言われたら困るやろう。俺がいてる間だけ、もったらええんや。」とよく言ってい
た。
「こんな営業所にあとにくる所長なんかいてないやろうな。」とも言っていた。
だから、私は、所長がタイムリミットの歳、つまり、来年で終わったら、最悪、この営業所は無くなるかもしれないと思っていた。
そうすると、必然的に転勤か辞めて他の地元の会社を探さなければいけない。
転勤になると、ミルとココ、それにお母さんが心配だ。
幸い、今までにも、お客様から何件か引き抜きの話しは出ていた。
そうなったら、相談してもいいかもしれない。
それとも、新しく自分のやりたい仕事をしてもいいかもしれないと考えていた。
お客様たちも、この営業所がどうなるか、いろいろと心配されていた。
私は何とでもなるけれど、この営業所が無くなったら困られるお客様がおられるので、どうしたものかと心を痛めていた。
私が入った頃からいろんな知識を教えてくださったお客様たち、営業所を支えてきた歴代の所長や営業さんたち...
その方々の中には、亡くなられた方々もいる。
ここで、営業所が無くなるのは、その方々に申し訳ない。
せめて、何かの形で残していきたい。
所長は、どうせ後釜なんかいないから65歳を過ぎても、「どうか、このままでお願いします。」と、会社から言ってくると思っているようだった。
お客様のなかには、私が所長になればいいと考える人まで、出てきた。
私も、お客様が困るなら、最悪そうしてもいいと思っていたが、営業にならなければならない。
知識はあるのだが、現場とかに行かなくてはいけないし、体力が大丈夫だろうかという心配があった。
ただでさえ、私は厄介な体質だ。
こうして、どうしたものかと思い悩む日々は過ぎていく。
9月8日の朝、仕事をしていると会社の電話が鳴った。
「はい。ありがとうございます。ハレルヤです。」と私は、いつもの通り電話に出た。
「冬野です。」
私の部門のトップ、冬野本部長だ。
営業部隊から、鬼軍曹との異名を持つ営業の精鋭隊長だ。
私は、しばらくの間、何と言っていいのか分からず戸惑い、一言も発することが出来なかった。
しばらくして、
「西山所長は、いますか?」と冬野本部長が、優しく私に問いかける。
{何て優しい声なんだろう。冬野本部長は、こんなに優しい声だったっけ?}と、うっとりすると同時に私は、一瞬にして全てを悟ってしまった。
「はい!はい、はい、はい!今すぐに!今すぐに代わります。」と、私は保留ボタンを押して、自分の席に座っている所長に、
「所長!西山本部長から電話です。」と伝える。
所長は、「冬野?何なんや。」と面倒くさそうに電話を取る。
「はい、都合のいい日ですか?はい、ええ...」
2人の会話は続く。
しばらくして、電話を切った所長が、
「冬野本部長が、小山部長と10日の2時にここに来るらしいわ。話があるらしい。」と、私に告げる。
「多分、もう少し延長して働いてくださいって頼みにくるんちがうかな。」と所長は、しゃあないなぁという感じで私に話し続ける。
だけど、私は、冬野本部長の一言で分かってしまった。
【新しい所長がくるんだ】と。
それから、私は10日が来るのが待ち遠しかった。
10日の当日も、朝からソワソワして、ずっと落ち着かなかった。
所長も、落ち着かない様子だった。
そして、待ちに待った時間が来た。
冬野本部長が児玉部長を引き連れて、営業所にやってきた。
「やあ。お疲れ様です。」と、冬野本部長は笑顔で私に挨拶する。
私は、「お疲れ様です。」と、満面の笑顔で応える。
その様子を不機嫌に見ていた所長が、無愛想にいきなり、2人を応接室に案内してドアを閉めてしまった。
閉じられたドアから、何やら大声で話し合っている声が聞こえる。
{えっと..せっかく来ていただいたんだから、お茶をいれないと..}
私は、急いで台所の方に向かう。
🐈続く🐈