ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の営業所の変化7~4番目の会社のこと

↑カテゴリー別のタイトルで編集しています。【輝の4番目の会社のこと】【輝とココのこと】をクリックすると、4番目の会社の話、ココの話だけが見れます。


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↑横顔のココも可愛い💞


西山所長と冬野本部長の話は、進んでいく。

「急にではなく、徐々に変えていきましょう。まず、トラックを無くす方向で..」
冬野本部長が、説明を続けていっている。

私は、その間、しょんぼりして、自分の席に座っている。

心配でいっぱいだ。
悲しい。

いろんな感情が入り交じっているが、変化は受け入れなければいけない。
次に進まなければいけない。

どうしよう。
私は、このままでいいのかな?
頭の中が、いろんなことでいっぱいになっていく。

不意に、本部長の声が聞こえてきた。

「リフォームは、一気にしようとするから、問題があったんでしょう。3年くらいかけて、少しずつしていけばいいじゃあないですか。とりあえず、必要なところだけして、利益が出たら、また、次に。」

所長が、
「とりあえず、危ないところだけは直したいですね。まず、...」と答えていく。

駅ビルを探して家賃を出す案と、縮小のリフォームの案を出して社長に相談することで、話が落ちついたところで、所長が切り出す。

「実際、本部長は、いくらのリフォームなら通ると思う?●●万?●●万?」

本部長は、しばらく考えて、答えていいものかどうかためらってから、

「わからない。社長がダメだという考えなら、いくらにしてもダメだと思う..」と、うつむき加減に話す。

それを聞いて、私は、
「危ないところなんかも直さなくていいじゃないですか!どうせ、引っ越すんだし、もったいないじゃないですか。」と、静かに反論する。

{なんだ。社長は、もう、決めてるんだ。じゃあ、何をしても無駄だ。}

私は、一瞬で悟る。

「いや、でも、危ないところは修繕しないと...」西山所長が、反論する。

「もったいないじゃないですか!」
私は、一喝する。

その後、本部長と所長は、2人で話を続け、しばらくして、話が終り、所長は自分の席にいったん戻って、途中になっていた仕事を片付けている。
本部長は、そのまま、座っている。

その間ずっと、私は、自分の席で、うなだれている。

{どうしよう。どうしよう。}
不安と悲しみでいっぱいになってくる。

{営業所は、残すって言ってたのに..
嘘つき..。移転の先は、目に見えている。本社なんか行けない。移転でさえ、お母さんが心配だ。}

いろんな想いが、込み上げる。
だけど、どうすることも出来ない。
本部長に、きちんと説明も出来ない。

絶望感で、深く落ち込む。

本部長が、立ち上がって私の方に近づいてくる。

「ねえ?明日、ここを立ち退けとか言ってるんじゃあないんだから。」
優しく、私を宥めるように話しかける。

{違う。違う。本部長は、何も分かってないから。}

私は、絶望感でいっぱいで、何も答えられない。

「ねえ?リフォームの提案をもう一度、出そうよ。ほら、まず壁紙を張り替えて、床も張り替えて、机も新しくしよう。」
本部長が、私に優しく訴えかけるので、私も席を立って、

「じゃあ、外の換気扇とフードと、倉庫の天井の内側の一部を..」と、身振り手振りを交えて何とか答える。

「それじゃあ、安すぎるよ。」
本部長は、困ったように言う。

「ほら、壁紙張り替えようよ。」

「要らない。」と、私は、そっぽを向いて答える。

{綺麗にしたいわけじゃない。私の望みは、違う。}

本部長は、困り果てて、しばらく黙り込む。

「西山所長、これから、不動産屋に行って、実際の家賃の相場を調べようか?」と、本部長が提案する。

「ああ、それやったら、●●会社の所長に、家賃聞くわ。ちょうど、言っている条件のテナントを借りて、してるから。」

●●会社は、うちの会社の競合でもあるが、私達の営業所通しは、仲がいい。

「そんなもん、教えてくれるかよ。」
と、本部長が呆れたように呟く。

「いえ、大丈夫ですよ。あそこの所長は、教えてくれます。」
私は、静かに答える。

運良く、向こうの所長は、すぐに携帯に出てくれた。

所長が、必要なことを聞いてくれる。
あちらも、すぐに答えてくれているようだ。

しばらく話しをして、電話を切り、
「家賃は、月●●万円らしいです。」と、所長が答える。

今の営業所の固定資産税の三倍の家賃になる。

「せっかくだから、これから見に行きましょうや。」と、所長が本部長を連れ出そうとして、先に車の方に行く。

{家賃がこんなにかかるから、移転は、無くなるかもしれない。}
私は、希望が少し出てきて、嬉しくなる。

「行ってらっしゃいませ。」と、私は、本部長が見に行ったあと、そのまま本社に戻ると思って、笑顔で見送ろうとすると、

「また、戻ってきますから。」と、
本部長は、優しく私を見つめながら言って、出ていく。

2人が出て行った後、一人残った私は、何だか疲れ果てて、自分の席に座って、ぼ~っとなる。

感情がコントロール出来ず、自分の感情の波に流されて、すっかり疲れきっている。

{私は、まだまだ未熟だ。}
私は、一人反省しながら、2人の帰りを静かに待つ。

それから、かなり時間が経ったのだろうか。
時間の感覚が分からなくなっていたところに、本部長が意気揚々と戻ってきた。

「見てきましたよ。向こうの営業所は、広さは、これくらいでね。倉庫が、一階になっていて..」

本部長は、嬉しそうに私に詳しく説明する。

嬉しそうな本部長を見て、私も笑顔で応える。

「これで、社長に説明しますよ。」
本部長は、引きあげようとする。

私は、少しためらう。
{もう、行っちゃうの?}

本部長が、すぐに察して、
「実は、●●物件の現場の立ち会いを抜けて来てて、6時までには戻るって言ってるんだ。」

そういえば、途中で、本部長が、自分にかかってきた携帯に、こっそりと気付かれないように、何かを話しているのを見た。

私が、営業所の時計を心配そうに見る。
もう、5時だ。

{どうしよう。間に合わないんじゃ?}

本部長は、また、すぐに察して、
「大丈夫。本社に戻るんじゃなくて、現場に戻るから。来るときに1時間もかからないことを確認してきてるから、間に合うよ。」と、優しく言ってくれる。

営業所に戻ってきた所長に、
「じゃあ、西山所長、頼んでおいたことをきちんと調べて、報告するように。」と、指図してから急いで出ていく。

本部長は、本社の重要な大型物件の立ち会いを抜けて、わざわざ来てくれていたのだ。

私は、申し訳なさにいっぱいになる。