ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の営業所の変化8~4番目の会社のこと

↑カテゴリー別のタイトルで編集しています。【輝の4番目の会社のこと】【輝とココのこと】をクリックすると、4番目の会社の話、ココの話だけが見れます。🐈


↑ミルの親友

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↑ココだよ~🐈


本部長が出て行ってから、しばらくして落ち着いて自分の席に座っていると、後ろの席から西山所長が話しかける。

「駅ビルの家賃と、リフォームの見積りのやり直しなあ。しないで放っとこうかな。」

「そんな訳にはいかないでしょう。とっととしてください。」と、私は、冷たく答える。

「でもなあ、移転なんかしたら、この営業所は、結局無くされるぞ。おまえのためにも、もうしばらく置いとかんとなあ。」と、所長が続ける。

「私一人のために、そんなことは無用です。とっとと進めてください。なるようにしかなりません。」
私は、きっぱり答える。

所長は、渋々、リフォーム会社に電話をかけて、再見積りの依頼を始める。

営業所が無くなる可能性は、極めて高い。
私は、本社に移動になるだろう。

事情を何も知らない本部長は、私が本社に行くことがいいことだと思っていたのだろう。

無理はない。
何も知らないのだから。

心配だし、不安だ。
弱小のお客様たちは、大丈夫だろうか?
私は、本社に行けるのか?
私は、混乱し始める。

それから再見積りが出るまで、かなり時間が、かかった。

西山所長が、だらだらしていたからだ。

その間、私は、いろんな考えが浮かんでは消え、実際、いろいろ取り組んでみた。

お母さんが心配だ。
お母さんは、もう15年以上も昔のことだが、閉鎖病棟に入院したことがある。
今では、もうほとんど問題ないが、それでも、変化に敏感で心配性だ。
まだ、念のため少量の薬も飲んでいる。

お母さんを一人にして、本社に行けるのか?
無理だろう。
じゃあ、地元で転職か?

とりあえず、転職サイトに申し込んでみよう。
いざ、申し込もうとして、条件を入力して見直すと、自分でも、こんな難しい条件じゃ見つかるはずないと内心思う。

本当は転職したくないのだと気付く。
転職してしまうと、本部長が悲しむだろう。
本部長を悲しませたくないし、裏切りたくない。

本部長が悲しむのは、何故か耐えられない。

え~い、とりあえず申し込んどこう。可能性0.001%くらいだ。
こんな難しい高条件で決まるのは奇跡だ。
もし、決まったらそれは、運命だ。

それからの私は、かなり情緒不安定だった。
食欲がない。何故か食べれない。
涙が、自然に溢れてくる。
熟睡出来ない。

私、どうしちゃったんだろう...

そうこうしているうちに、転職サイトから、{この条件では今のところ該当がありません。希望の期間まででは無理です。}との返信が来る。

私は何故か、ほっとする。
転職は、今のところ、考えないでおこう。問題が出て、それから取り組んでも遅くない。

それでも、私の情緒不安定は続く。
あまり食べれない。

その間に、長い期間をかけてリフォームの再見積りと家賃を提出していた所長に、本部長から電話がかかる。

いつもの通り、本部長は、所長の携帯にではなく、営業所の電話にかけてきた。

「冬野です。」

「あ...おつかれさまです..」
情緒不安定な上に消耗している私は、声も小さく、上手く対応出来ない。

「おつかれさまです。」
しばらく、本部長は無言で様子をうかがっているようだ。

「西山所長は、いますか?」
しばらくしてから、本部長は、優しく問いかける。

「はい..」
私は、小さく答えて所長に電話を繋げる。

本部長と所長が、電話で話を続けていく。

しばらくして、
「いや。それは、3人分のディスクになります。」所長が、あたふた答えている。

「所長のは、要らないだろう。二つでいいんじゃないか?それに、もっと、安く買えるだろう?通販で買ったらどうだ。」
多分、こんな感じで本部長が言っている。

「いや、でも、一緒に廃棄もしてもらおうと思って。」と答えている所長に、私が、こっそり横から

「あのう、机と椅子は、古いのを使ったらいいので、もう、買わなくてもいいのでは?」と提案する。

「じゃあ、全部止めてこのまま使います。」と所長が本部長に言う。

「机と椅子は、買い換える!」
本部長が、所長に怒鳴ったようだ。

所長が、ビクッとなる。

「机と椅子は、俺が探すから、どんな机と椅子かを俺のところに送っといてくれ!」
本部長が、さらに怒鳴って電話を切ったようだ。

{ああ、さらに本部長を怒らせてしまった..}

私の情緒不安定は、さらにひどくなる。


そんな私を友達が心配して、ご飯に誘ってくれる。

美味しいイタリア料理のお店だ。
本格的な釜で焼き立てのピザも、前菜もスパゲティも食べ放題出来る。

あまりに美味しいピザに、私の食も進む。

友達の麻美ちゃんが、綺麗に私の皿によそってくれながら、私の話をゆっくり聞いてくれる。

「輝ちゃんがいなくなったら、あの営業所は、終わりよ。だいたい、輝ちゃんのおかげでもってるんだから。本社は、分かってないのよ。」
麻美ちゃんは、怒り狂っている。

「それに、輝ちゃんが本社に行くなんて嫌よ。寂しすぎるわ。」
麻美ちゃんは、優しい。

「それで、輝ちゃん。他に何を心配してるの?」
麻美ちゃんは、私の心を見透かして私に優しく問いかける。

私は、おずおずと答える。
「あのね、あの時はね混乱して動揺してて、勢いでいっぱい言っちゃったの。しかも、あんなタメ口で。落ち着いたら、その、大丈夫かなって。本部長は、立場が、ほら、かなり上の人なのに、私、あんなこと言って。怒ってないかな?って。」

「あはははは。」
麻美ちゃんは、爆笑する。

「大丈夫よ。怒ってなんかないわ。むしろ、対等に話せる子がいてて楽しかったんじゃない?言ったほうがいいわ。もっと言ってもいいくらいよ。」麻美ちゃんは、笑いながら答える。

「そうかなぁ?」
私は、まだ不安でいる。

「まあ、でも、上司の言うことは聞くもんよ。言いたいことは言った上でね。」
麻美ちゃんは、優しく忠告してくれる。

「うん。」私は、素直に聞く。

その日は、少し心が軽くなって、麻美ちゃんといっぱい食べて、飲んで、いっぱい話して楽しい時間を過ごした。

気分が良くなった次の日、忠告を受けた私は、本部長に意を決して、謝りのメールを入れる。

この間は、感情的になってしまい、言いすぎてしまい、すみませんでした。

他の部署とあまり交流がなく、私は、視野が狭かったと思います。

リフォームの中身は、私は、見ていないので分からないのですが、椅子と机は、私にサイズを聞いたメーカーの人が、イメージを想像して見積りしたと思われます。重ね重ねすみませんでした。


だいたい、こんな感じのことを書いて社内メールで送った。

本部長にメールで謝れるだけで、私は、十分だった。
これで、なんだか、スッキリした。

明日から三連休だから、ゆっくり過ごそう。

私は、一人満足していた。

しかし、夕方に所長がわめく。
「なんや、このメールは!」

本部長が、私にメールを返信していた。しかも、CCで所長にも送っていた。

私は、倒れそうなくらい動揺する
{なんで?返信なんか来ずに終わると思ってたのに...しかも、所長にCC で?}

私は、恐る恐るメールを開く。

ながっ!返信メールの行数が多い。
文章が、ずらっと続いている。
長い...

私は、倒れそうになりながら、読み進めていく。

おつかれさま。
私は、全然気にしていないし、心配には及ばない。

そんな文章で、始まっていた。

メールのついでというわけではないが、私の考えを知っていてもらいたい。

この後、何故、自分があんな話を持っていったのか、その話が何故、いいと思ったのか、会社の経営の話や、社長の考えなどを詳しく説明していた。

私は、困ってしまった。
本部長は、多分、もっと私と話し合いたかったのだろう。
そして、私に納得してほしかったのだろう。

でも、根本的に違う。
本部長には、見えていない私の事情を話さなくては、お互いにきちんとした話し合いが出来ないだろう。
しかし、それは今は難しい。

私が、もっと隠さずに本音で話さなくてはいけない。
誤魔化している私のせいだ。

困ったものだ。
本部長が、怒っていないことが分かったのは幸いだが..

これは、今後の課題になるだろう。
いつか、きちんと話さなくては..

一人、考え込んでいる私に所長が、
「これは、何なんや?」とわめきたてる。

「あぁ、前に来たときに失礼なことしたので、謝ったんですよ。友達にも上司の言うことは聞けって忠告されて、納得したのでね。」と、私は、上の空で答える。

「失礼なことなんか、おまえはしてないやないか!」
所長は、後ろでわめき続けている。