ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝の猫~ココの登場6~

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今日は、お母さんの心臓ペースメーカーの手術の日だ。
今までは、順調に進んでいる。
いい感じ。

西山所長にも、事情を話して、今日は、1日有給休暇を取っている。
西山所長も小山部長も、ひどく心配してくれて、快諾してくれた。

手術のことを、おばあちゃんとおじいちゃんに話したのだが、2人とも、腰と足が弱っているので、なかなかこちらまでは来れないと、渋っている。

おばあちゃんは、私のことだと一目散なのだが、お母さんのことになると、不思議と、腰が重くなりがちだ。

お母さんには、「行きたいんだけど、2人とも足腰が弱っていて、長距離の車が、しんどいみたいで、ちょっと来れないみたい。」と、やんわり言って納得してもらった。

弟には、知らせようかどうしようかと、お母さんが、私に聞くので、一応、メールで知らせるように言っておいた。

{まあ、勝手に入院の保証人の欄に名前を書いているし、本人が知らないのは、おかしいだろうし...}

案の定、弟からは、手術の日は、仕事で行けないと、返信が来たようだ。

弟夫婦には、子供2人がいるのだが、お母さんが、昔、精神的に不安定で緊急入院したときに言った弟のセリフは、忘れない。

「子供たちを、こんなところに見舞いに来させるのは、影響に悪いから、来させられないし、見せられないやろう。由真(←奥さん)も無理やから。」


{いや、あんたの娘は、後に看護師になりたいと言い出すことになるのだが...皮肉なもんよのう...}


強引に退院させて、家で布団で寝たままで、なかなか起きられないお母さんを見たときに言ったセリフも忘れない。

「ダメだな。もう、治らなそうだし、もう、無理やな。」

{捨てゼリフかよ...}

薬が抜けるまで、無理なだけだからと、いくら私が説明しても、納得しなかった。

頭が固くて、融通が効かないのだ。

そして、お金は、びた一文払わなかった。お土産の、安そうな六個入りのどら焼きを家に持ってきただけだった。

基本的にケチなのだ。

だから、お金がまわってこないし、悪循環なのだが、説明しても分からないだろう。

だいたい、どら焼きなんか、そんなに食べられないし、好きでもない。
センスってもんが無いんだよな。
同じ値段でも、もっと喜ばれるいいものを買えるのに。


お母さんが、すっかり元気になってからは、弟家族は、何事もなかったかのように、家族で遊びに来て、みんなで、楽しく食事して遊びに行って、帰りにお土産やら、おこづかいやらを大量に嬉しそうにもらって帰るようになった。

私も喜んで、みんなで楽しみ、いろいろ喜んで与えるが、あのときの事を決して忘れない。

いざというときは、頼りにならない。
肝に命じている。

姪っ子と甥っ子は、可愛いが、それとこれとは、別なのだ。


という訳で、手術当日は、私だけだ。

{ていうか、みんな、よく心配にならないもんだな。私なんか、心配で仕事なんか手につかないんだけどな。}

朝早くから、お母さんの病室で、見守る。手術は、9時からの予定だ。

看護師さん達がきて、お母さんに血圧計やら、尿管やら、いろいろ手術前の準備をする。

お母さんが、緊張しているので、
「お母さん、大丈夫よ。局所麻酔だし、手術も1、2時間で終わるみたいだから。」と言って、安心させる。

お母さんが「そうね。すぐ終わるよね。」と、不安そうに答える。

看護師さん達が、ベッドごと、お母さんを手術室に運んでいく。

「ここで、お待ちくださいね。手術が、終わったら、また、ここに戻ってきますからね。」と、優しく教えてくれながら行ったので、大人しく椅子に座って待つ。

なかなか、一人で待つというのは、心配が増すし、不安なものだ。

ミルと一緒に、ここで待ちたいが、そんなことは、もちろん出来ない。

本を読む気にもなれないし、テレビを見る気にもならない。なんか飲む気にもならないしな。

一人で心配しながら、悶々と座って待つ。

{早く戻ってこないかな...}

一時間経過。
もうちょっとかな?

二時間経過。
さすがに心配になってきた。
失敗か、なんかトラブルでもあったんじゃないのかな。

ソワソワして病室から様子をみていたら、看護師さんが来て、
「まだみたいですね。もう少し、待っていてくださいね。」と、優しく宥めてくれる。

さらに30分経過して、お母さんを乗せたベッドが、やっと戻ってきた。

「お母さん、大丈夫?」と、ベッドに駆け寄る。

看護師さんが、
「大丈夫ですよ。長くて心配しましたね。」と、優しく言ってくれる。

お母さんが、「浅井先生が、なんかごちゃごちゃ、うるさいし、遅いんよ。ちゃんと入れとかないと、また、やり直しになるって、ぎゅうぎゅうペースメーカー押さえ付けて痛いし。」と、怒って説明する。

{どうも、浅井先生は、手術は、達人というわけでは無さそうだ。}

「あの先生、ほんまにあかんわ!手際が、悪いんよ!」と、お母さんの不満は、おさまらないようだ。

{まあ、こんなに怒って、文句言えているんだから、問題なさそうだ。}と、安心して、お母さんを見ていると、浅井先生が、やってきて、

「術後の説明をしますので、こちらへ」と言うので、私は、お母さんを病室に置いて、先生についていった。

先生は、写真やらグラフやら、レントゲンやら、いろいろ私に見せて、手術が成功して、ペースメーカーがきちんと作動していることを、詳しく説明してくれた。

私は、お礼を言って、おばあちゃんからアドバイスされた謝礼金を渡そうとしたら、浅井先生は、丁重に断ってくれたので、有り難く引っ込めた。

病室に戻って、
「お母さん、手術、成功したって。」と、説明する。

お母さんは、まだ、ぶつぶつ言っている。よっぽど、腹立たしいようだ。

とりあえず、お昼を取りに家に帰って、ミルの御飯やら、家の用事をして、また、病院に戻り、夕方まで、付き添った。


家に帰って、ミルと安心して、しばらく戯れていた。

「ミル、お母さん、手術成功したんだよ。賢く、ミルがお留守番してるからだね。偉いね。」

「ミャア」と、ミルが喜んで甘える。

家の電話が、急に鳴った。

何かあったのかと思い、慌てて電話に出ると、おばあちゃんからだった。

「輝ちゃん、ああ、良かった。戻ってた。お母さんの手術は、どないや?」

心配して、かけてきてくれた。
やっぱり、おばあちゃんも、かなり心配していたんだ。

私は、嬉しくなって、電話で、経過と状況を詳しく話した。

おばあちゃんは、やっぱり心配だから、来週の土曜日にお見舞いにきてくれると、約束してくれた。

良かった。お母さんも喜ぶだろう。


その日は、気分よく眠ることが出来た。




🐈続く🐈