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山口商事の深川さんに、炭酸水の置いてある奥のほうのテーブルを案内したあと、{なんかお腹へったなぁ}と、自分の円卓を見ると、何と誰もいない。
{おお!社長夫婦が、どこかにいったのか。チャンスだ。食べに帰ろう。}
いそいそと、炭酸水の瓶一本を持って、一番前の真ん中のテーブルに向かっていき、自分の席に座る。
円卓には、誰もいない。
{誰も、私など見ていないであろう。さあ、食べるぞ!}
円卓の大皿に残っていた酢豚を自分の皿に取り分けて、食べ始めると、
{お待ちしておりました。}と、言わんばかりに、次から次に、給仕の方たちが、出来たての食事の大皿を円卓に運んできて、うやうやしく、私にすすめてくれる。
中国野菜の炒めもの、海老のチリソース、蒸し餃子、フカヒレの姿煮込み、美味しそうな大皿が、ずらっと並ぶ。
人数分のものを、とりあえず1つずつ、自分の皿に取り分けて、ガツガツ食べ始める。
{美味しい!さすが、本場の味!}
夢中になって食べていると、私の肩を優しくさわる方がいる。
{ん?誰かな?}と振り返ると、
{ゲッ!社長の奥さまだ!まずい!}
「すみません!」と慌てて立ち上がろうとすると、
「いいの。いいのよ。どうか、そのまま、座ってらして。」と、優しくおっしゃって、私に微笑む。
「いつも、社長には言っているのよ。同じテーブルの方が、食べられなくなるわって。本当にごめんなさいね。」
私は、うっとりして、
「とんでもございません。みんな、挨拶したいだけですから。」と答える。
奥さまは、「さあ、気がねなく、存分に食べてらしてね。」と、優しく微笑みながら、その場を離れていかれる。
{はあ。なんて、お優しいんだろう。}と、感動する。
{さあ!奥さまのお墨付きだ!ばんばん、食べるぞ!}と、箸を進める。
{この中国野菜の炒めもの、すごく美味しい。この青菜みたいなの、何て野菜なんだろう?みんな、食べないから、いっぱい食べていいよね。}と、大皿の2/3くらい食べてしまう。
炭酸水をコップに入れて、一息ついていると、円卓のメンバーも戻ってきて、食べ始める。
さらに給仕の方たちが、炒飯とスープを一人ずつに運んできてくれる。
{美味しい!美味しい!本場の炒飯、最高!}と、幸せを噛み締めながら食べていると、社長が、円卓に戻ってきて、席に着かれる。
「おい!その野菜の炒めもの、美味しそうだから、こっちにまわしてくれ。」と、円卓の営業さんに言われて、自分の皿に取り分けて、食べ始める。
{あぁ~、ごめんなさい、社長、私が、ほとんど食べ散らかしたものを..}
しばらくして落ち着いてから、司会の総務部長が舞台に上がって、
「では、わが社の関連会社になられた山口商事株式会社の役員の方のご紹介をさせていただきます。」と、マイクでみんなに伝える。
舞台に役員の方たちが、上がって行って並ばれる。
{あれ?}
まず、うちの会社から取締役社長になって行かれた河島さんが、元気に挨拶される。
続いて、深川さんが挨拶する。
「初めまして。取締役総務部長の深川でございます。よろしくお願いいたします。」
{.....深川さん...山口商事のナンバー2だったんだ。そんなお偉いさんなら、始めから言っといてよ....}
パーティーは、進行していき、デザートの杏仁豆腐と温かい烏龍茶が出されて、そろそろ終わりが近づいてきた。
突然、私の両肩を後ろから両手で、ガシッと勢いよくつかむ方がおられる。
{誰?}恐る恐る、振り返ると、小山本部長だ。
小山本部長は、私の所属する部門の関西エリアのトップになる。
小山本部長とうちの西山所長は、同期で仲が良い。
「はなちゃ~ん、よろしく頼んどくで!ほんまに。なっ!」と、笑いながら言われる。
{ちょっと酔ってらっしゃるが、本気で頼むとおっしゃっているようだ。}
私は、席を素早く立って、「はい!」と答えて、隣に立ってらっしゃる奥さまに、深くお辞儀する。
小山本部長は、最近、再婚なされて、新婚なのだ。
お二人は、ボーイスカウト、ガールスカウトの場で、知り合ったと聞いたことがある。
奥さまは、オドオドしながら、私に、
「お願いします。よろしくお願いします。」と、何度も御辞儀なさる。
小山本部長は、満足なされたようで、その場を奥さまと離れて行かれる。
ちょうど、そのときパーティーが終わったようで、社長が、円卓のみんなに
「さあ、みんな、最後に三本締めでしめようじゃないか!」と、おっしゃるので、
円卓のみんなで、勢いよく、三本締めをして、終了する。
なかなか、いろんなことがあった内容の濃いパーティーだった。
🐈続く🐈