輝の会社の社長6
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ホテルの部屋に戻って、私は、自分のベッドの上に、勢いよく座る。
いいベッドだから、スプリングが良く、体が、ポ~ンと浮き上がる。
竹中ちゃんも、自分のベッドに座って、「本当に、大変だったわね。」と、話しかけてくる。
「うん。野中さん、とんだ災難だったよね。あ、そうだ!さっき出してくれてた治療代、半分出すわ。」と、カバンから財布を出す。
「ええんよ!余計、ややこしなるし。」と竹中ちゃんは、頑として譲らない。
渋々、諦めて、
「ねえ、でも、もしかしたら、ちょっとの差で、私達がすられてたかもよ。ほら、見て!私のカバンの前のチャック、開いてるもの。」と、私は、竹中ちゃんにカバンを見せる。
竹中ちゃんは、びっくりして、
「え~!ゾッとしたわ。恐いね。」と、自分の両腕をさする。
暫く、くつろいでゆっくりしていると、トントンと、ドアをノックする音がする。
急いで、ベッドから飛び降りて、ドアを開けると、野中さんが立っている。
「ちょっとは、落ち着いた?」と、
笑顔で、部屋に招き入れて、ソファーに座るように促すと、
お金を取り出して、竹中ちゃんに治療代と、私に電車代を渡そうとする。
「いいよ。帰るまで、いろいろ要るだろうし。」と、私が断ると、
竹中ちゃんも、「私もいいよ。」と、
すかさず言う。
野中さんは、「じゃあ、帰ったら返すね。」と、納得する。
竹中ちゃんが、「早めに、高野所長に報告しといたほうが、いいよ。」と、言うと、
野中さんは、「帰ってから言うわ。」と、小さい声で答える。
高野所長は、四国営業所の所長で、野中さんの上司になる。
「でも、すぐに言わないと。」と、
竹中ちゃんが、注意すると、
「お願い!帰ったら、絶対、言うから!旅行中は、みんなに黙ってて!」
と、野中さんが、必死に訴える。
「でも..」と、竹中ちゃんは、心配している。
「所長、私にはキツいの!本当に恐いんだから。お願い!」と、
野中さんは、泣きそうになる。
私達は、渋々、了解する。
暫くして、野中さんが落ち着いたようで、「どこか、出掛けましょうよ。」と、言う。
「でも、右腕、大丈夫?安静にしてたほうが、いいんじゃないかな。」と、私が心配すると、
「大丈夫よ。お腹空いたし。」と、笑って言うので、私が、前もって調べていたホテルの近くにある有名な【唐朝】というお店で、お粥とデザートを食べに行った。
私が白身魚入りのお粥、竹中ちゃんがホタテ入りのお粥、野中さんがピータン入りのお粥を注文して、出来たてのお粥をみんなで、一緒に食べ始めた。
「美味しい!」と、野中さんが、感動する。
竹中ちゃんも、私も、
「本当に、美味しいね。」と、
喜んで食べる。
温かくて、ホッとする。
優しい味だ。
野中さんが、完食するのを見て、
{良かった。食欲があるなら、大丈夫だわ。}と安心して、デザートを注文する。
私が白小豆入りの温かい豆花、竹中ちゃんがマンゴープリン、野中さんが小豆入りの冷たい豆花だ。
みんなで、はしゃぎながら食べた。
どれも、みんな、すっごく美味しかった。みんなで、味見しながら食べた。
ゆっくり堪能してから、
「じゃあ、ここは、私が奢るわ。」と、会計をする。
2人とも、遠慮したけど、
「これくらいは、大丈夫。」と、笑って、喜んで払った。
みんなで、ご機嫌で店を出て、ちょっと、お店を見てから、ホテルに帰ろうと、歩き出した。
ちょうど、高野所長と営業さん達に出くわした。
野中さんのほうを見ると、後ろの方で隠れている。
嘘をつきにくい私は、ぎこちなくなって、歩いてきた他の観光客の人に当たって、転びそうになる。
「ほら、花田さん、危ないぞ。気をつけないと。」と、高野所長が、優しく言って、笑顔で去っていく。
{高野所長、優しくて、いい人なんだけどな?}と、不思議に思う。
近くのお土産屋に入ると、タイガーバームを見つけた。しかも、安い!
三個まとめて買うと、さらにお得だ!
タイガーバームは、お年寄りに喜ばれるお土産だ。
肩こりや鼻づまり、虫刺され、湿布、いろんな用途がある万能薬だ。
しかも、赤と白がある。
白は冷感タイプで、赤は温感タイプだ。
今は、11月だから、温感タイプにしよう。風邪をひかれては、いけない。
おじいちゃんのと、高齢のお得意様の社長達に、買っていこう。
「私、タイガーバーム、買ってくる!」
と、2人に言って、ウキウキとはしゃぎながら行く。
2人も、それぞれ見たいものを、見に行った。
他にも、マスクとか化粧品、お菓子とか、薬、あらゆるジャンルのものが、置いていた。
かなり、混んでいる店だったので、レジに、時間が、かなりかかった。
商品の種類が多すぎて、見るだけでも、時間が、かかっていた。
みんな合流したときには、もう、ホテルに戻らないといけない時間だった。
この後、全社員参加のパーティーがあるのだ。
例の社長夫婦と同じ円卓になる、あのパーティーだ。
あのパーティーの前に、こんな事件が、実は、起こっていたのだった。
でも、事件は、このまま終わっては、くれなかった。
🐈続く🐈