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ヨガから家に帰ると、夜9時過ぎになる。
駐車場に車を止めて、玄関のドアを開けると、ココが、勢いよく、ドアの隙間から外に飛び出した。
「ココ!」
私は、びっくりして、叫ぶ。
荷物を玄関に落としたまま、
「ココ!ダメ、ダメよ。お願い、戻って。ほら、おいで。」と、
私は、必死に説得する。
そのとき、お母さんが、
「どうしたの?ココ、出ちゃったの?」
と、言いながら玄関から出てくる。
同時に、ココが、家の門をくぐって、家の外に出る。
「ココ!ココ!ダメよ、ダメ。お外は、ダメ!」と優しく話しながら、私は、必死に追いかける。
ココは、家の外の道路にいる。
私の家は、団地なので、団地内の道路になる。
「ココ、ほら、いい子ね。こっちおいで。」と、さらにココが、逃げないように、一歩ずつ近づく。
ココも、一歩ずつ遠ざかる。
お母さんが、慌てて、
「ココ、戻っといで!」と、後ろから言うと、隣の家の前まで逃げていってしまう。
{ああ!ダメよ。その家は、猫が嫌いな住人なんだから。そんなとこに、入っちゃダメ。}と、
必死に願いながら、ゆっくり、ココに近づいていく。
もうちょっとで、ココに手が届きそうなところで、ココが、隣の家のガレージの門をくぐってしまう。
「そんなところに行っちゃダメ。ほら、出ておいで。」と、
優しく言いながら、説得するが、ココは、ガレージと塀の隙間に入って、こっちを見ている。
{はぁ~。これは、デジャブなの。確か、ミルにも、同じようなことをされて、三時間くらい捕まえるのにかかった記憶が...}
※【輝の猫~ココの登場11】をお読みください。🐈
ココは、私と一定の距離だけ離れているだけで、遠くに行く気はなさそうだ。私を困らせたいだけらしい。
{ストライキか.. .毎週木曜日のヨガの帰りが、遅くなるのが、お気に召さなかったか...}
「ココ。ココちゃん。ごめん。ね、だから、こっちにおいで。」と、説得するが、ココは、こちらを楽しそうに見ているだけだ。
お母さんが、「お姉ちゃん、先にお風呂に入ってきなさい。その間に、お母さんが、ココを捕まえて、家に入れとくから。」と、私に言う。
「大丈夫なの?」と、私が、聞くと、
「任せときなさい。ココは、賢いから大丈夫。安心して、お母さんに任せなさい。」と、お母さんが、すごい自信を持って言うので、私も、すっかり安心して、その場を任せた。
家に入ると、ミルが心配そうに、玄関に座っている。
「ミル、大丈夫よ。お母さんが、すぐに、ココを連れてきてくれるからね。」
と言って、ミルの頭を優しく撫でる。
玄関に放りっぱなしにしていた荷物を中に入れて、急いでお風呂に入る。
今は、11月なので、温かいお風呂が
心地いい。
でも、ココが、心配なので、とっとと、お風呂を済ませて、パジャマに着替えて、髪の毛を乾かせて出る。
{ん、あれ?まだ、戻ってないな。}
恐る恐る、玄関を開けて門を出ると、
お母さんが、「あ、お姉ちゃん。ダメだったわ。ココ、言うこと聞かないわ。」と降参して、私に訴える。
{なんじゃそりゃ。あの自信は、何だったんだ。}
ココは、さっきと同じ位置で粘っている。
「お母さん、替わるわ。中に入ってて。」と、お母さんに命じて、交代する。
「ココ。ココちゃん。寒いでしょう?ほら、一緒におうちに戻ろう。」と、私は、必死に説得を続ける。
{パジャマ姿で、夜に猫に語りかけていり私を見て、近所の人は、私をおかしなやつだと、思わないだろうか?}と、少しばかりの疑問を持ちながら、必死に説得を続ける。
頭の中に、最近、飼い犬が、いなくなったらしく、近所のそこらじゅうのスーパーや動物病院や飲食店に、写真付きで探しているビラが張られている光景を思い浮かべる。地元新聞にも、載せていた。もう、一年も過ぎるのに、探している。よっぽど、可愛がっていたのだろう。
{おんなじ目にあうのは、嫌だ!何としても、ここで捕まえてみせる!}
と、頭をブンブン横に振る。
よし!誘導作戦だ。
「ココちゃん、こっち来て遊ぼう。」と、優しく言いながら、ゆっくり遠ざかって、自分の家の門の前に移動して、見えるように座る。
座って、しばらく待つ。
ココが、心配になって、隣の家から道路に出てきた。
私は、座りながら、楽しそうな声で、
「ほら、遊ぼう!こっちにおいでよ!」
と、誘う。
ココが、嬉しそうに、こっちに小走りにやってくる。
{焦っちゃ、ダメだ。来るまで、平常心で、待つんだ。}と、
自分に言い聞かせながら、座って待つ。
ココが、近づいてきて、
「撫でて。」と、嬉しそうな顔をして、手に頭を押し付けてきた。
片手で頭を撫でて、ゆっくりともう一方の手でココを抱きよせて、ココを抱き上げる。
{捕まえた!}
ココを優しく抱きながら、急いで家に入る。
玄関のドアを開けて、ゆっくりと、ココを玄関に降ろす。
{はあ、良かった~。}
玄関で待っていたミルが、
{あんた、何してんのよ!早く、中に入りなさいよ。}と言わんばかりに、前足でココのお尻を叩く。
お母さんが、
「ココ!良かった!ほら、部屋に入りなさい。」と、ココを部屋の中に入れる。
私も、玄関に座っているミルの頭を撫でて、一緒に部屋に入る。
ココは、疲れたみたいで、ソファーの座布団の上で、ぐったりしている。
ココの頭を優しく撫でて、
「もう、分かったから。2度と家から出たりしないでね。」と、優しく注意する。
お風呂上がりの私の体は、すっかり、冷えきっていた。
お母さんが、「冷えたでしょう。お風呂、温め直しといたから、もう一回浸かっといで。」と言うので、もう一回、お風呂で温まってきた。
お風呂から上がると、ココが、満足そうに眠り込んでいるのを見て、安心して、私も、眠りに自分の部屋に行った。
もう、11時を過ぎていた。
{ココは、そんなに毎週木曜日に、私の帰りが遅いのが、嫌だったのか。ココと一緒にいる時間が足りないのか。もっと、ココと遊ぶ時間を確保しないと、かわいそうだな。ココを失うくらいなら、もう、ヨガを辞めたほうが、いいのかも。}
そんなことを考えながら、疲れていた私は、熟睡した。
来週の木曜日、それまでお母さんに、
「ココが、心配だから、ヨガを行くのをやめる。」とグズグズ言っていた私に、お母さんは、ずっと、
「いいから、たまには、息抜きしないと。大丈夫。お母さんが、もう、飛び出さないように気をつけてるから。」と、説得し続けていたので、様子見で、ヨガに行くことにした。
{お母さんの大丈夫は、信用出来ないいんだよな...}と、内心思いながら...
ヨガに行ったけれど、やっぱり、心配で、もう、息抜きになっていなかった。
河合さんは、今日も来ていなかった。
志穂先生が、
「花田さんと横山さん、河合さんに何かあったか聞いてない?」と私達に尋ねたが、どちらも首を横に振った。
私達は、連絡先を交換していなかった。
多分、ヨガの時間の関係で幸せだったから、3人とも敢えて、現実の世界の話しをしたくなかったのだろう。ずっと、このまま続くと思っていたし。
ヨガをしながら、志穂先生が、
「このカルチャーセンターのビルが、駅前都市計画の整備で、新しくタワービルになります。それで、このビルから、カルチャー教室が、出ていくことになったんです。」と、突然言い出す。
{え?今回のアクシデントは、先生にじゃなくて、ビルの方でくるの。すごいな。}と、1人、静かに感心する。
先生が説明したことは、こんな感じだった。
新しいビルは、賃料が上がるからカルチャー教室は、ここから、出て行くことになった。
カルチャー教室は、ここの他、あと2つあるので、良ければ移動してもいい。
一つは遠いし、もう一つは、土曜日の朝だった。
あと、良ければ、他の場所を借りますが、どうしますか?って感じだった。
80歳の片岡さんは、土曜日の朝の教室に移ることにしたし、他の一部は、もう1つの教室に移ることにした。
横田さんと数名は、先生と他の場所を探すことになった。
私は、もう、辞めることにした。
潮時なのは、分かっていた。
もう、終わりの時が来たんだ。
教室が、終わるまで、あと3回あったので、これだけ行って、終わることにした。
{これぐらいなら、ココも許してくれるだろう。というか、あの子は、何か、教えてくれてたのかも知れないな。}
あと一回ってときに、ヨガが終わって、教室から出ると、河合さんが、受付で、何か手続きをしているのが見えた。
私と横田さんが、嬉しそうに、手を振ると、困ったような笑いをして、お辞儀をして、急いで行ってしまった。
受付の人に、「河合さんは、どうしたんですか?」と聞くと、
「退会の手続きに来たんです。」と、答える。
私は、横田さんと顔を見合わせる。
{何か、言えない事情が、あるのだろう。本当は、結婚でもするのかな?なんて、思ってたんだけど、違うようだ。}
横田さんも、同じことを思ったらしく、何も言わなかった。
こうして、私は、残りの3回を終えて、3年ちょっと続いたヨガを終了することにした。
この後、しばらくして、行政書士の試験の勉強を始める羽目になる事件が起こることになる。