ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

ふてくされた子猫との出会い2

↑カテゴリー別のタイトルで、編集しました。【日向とミュウ】をクリックすると、大学時代のミュウとの物語だけが、出ます。🐈






店の中に入ると、おばあさんが丸椅子に座っていた。「猫いますか?」花梨が、嬉しそうに尋ねる。「ああ、こっちだ。」と狭い通路の先を指差した。大きめの四角い鳥かごみたいな鉄のケースに、マジックで《ただ》って縦書きされたペラペラの紙を張られて、その中に二匹の子猫がいた。茶トラと白黒?だ。「わぁ!」花梨が近付く。おばあさんが、ケースを開けると茶トラが花梨にしがみつきにいく。花梨が喜んで抱っこしている。茶トラは、必死のアピールタイムだ。かわいい攻撃、満載だ。ケースに残った白黒?茶トラより二回りくらい小さい猫は、お尻をむけて座っている。{どうせ、触ったって飼わないんでしょ。}そんなに小さいのに、もう悟りきってるのか?っていうか、ふてくされてるのか?「茶トラはオスで、三毛のほうはメスだよ。」おばあさんが、花梨に言う。白黒じゃなくて三毛なのか!メスは、飼われないというから、こんな状況にこいつは、なってるのかな?でも、諦めが早すぎないか?ちなみに後で知ったけど、三毛猫は遺伝子的にメスがほとんどで、オスは、かなり貴重になるらしい。ずっとそうしている間も茶トラは、花梨に甘えまくってる。三毛猫は、そっぽを向いたままだ。花梨が、「じゃあ、この子いただいていきます。」嬉しそうにおばあさんに言う。「ああ、ありがとう。持っといで」「日向ちゃん、じゃあ帰ろう。」ああ、そうだな。三毛猫は、そっぽを向いたままだ。茶トラを抱えた花梨と自動車まで戻る。花梨、ちょっと車で待ってて!急いで店に戻って、おばあさん、この子もらうわ!ケースから取り出して急いで戻ろうとする。「ちょっと待って、お嬢ちゃん!」え?「この子を預けた人は、飼い手がなかったら、また戻してと言っててな。飼い手の情報を教えてほしいと心配しててな。ちょっと電話するから待っといておくれ。」おまえ、無茶苦茶愛されてるんじゃないか。私、学生だから断られるかもな。だいたい賃貸だしな。「お嬢ちゃん、構わないから飼ってあげてって。情報もいらないからと。」え?いいの?「この子には、飼う人がいたら、これをあげてって言われててな。」おばあさんが、キャットフードを私に渡す。ありがとう。急いで車に戻る。「日向ちゃんも猫飼うの?」花梨が笑う。まあ、そういうことだな。車に三毛猫を置くと急にはしゃぎ始める。だって、こいつを連れていかなかったら、一生後悔するって思ったんだもん。右手の手のひらに収まるくらいの小さい三毛猫は、はしゃぎ続けている。後日、ちょっと落ち着いて、三毛猫を肩に乗せて、琢磨と本学の校庭を歩いていたとき、琢磨が「なぁ日向、俺、猫を飼ったらつけようって思ってた名前があって。な?絶対この名前にして!」なんて名前?「ミュウだ。」ミュウ..うん、いい名前だ。ミュウ、おまえの名前は、ミュウだよ。肩に乗っているミュウが、嬉しそうに私の頬にスリスリする。「あれ?日向ちゃん、猫どうしたの?」琢磨の下宿の隣の部屋に住んでいる剛さんだ。「飼ったんだってよ。こいつ、バカだろう?」琢磨が笑う。剛さんが「いいやんか。かわいい子猫やな、日向ちゃん。」と笑う。ふふ、いいでしょう。ねえ、ミュウ?桜が咲いている。まだ咲きかけだ。桜を通して青空が広がる。春が来るね、ミュウ。ミュウは、嬉しそうに頬にスリスリする。