ミュウと日向の物語

【ミュウと日向の大学時代の物語】と【輝の行政書士試験に受かるまでの奮闘記】です。他の物語も書いていきます。🐈

輝のつぶやき-保険の憂うつ3

↑カテゴリー別のタイトルで、編集しました。【輝の行政書士試験】をクリックすると、ひかるの行政書士試験合格までの物語だけが、出ます。🐈






今日は、手術の日だ。
天気がよくて、青空が広がっている。

おばあちゃんとおじいちゃんも大阪から来てくれている。
もちろん、お父さんとお母さんもいる。
弟は、大学生で京都にいるので、知らせていない。

先生2人が、病室に来た。
担当のいつもの斉藤先生とベテランの神谷先生だ。今回、神谷先生が助っ人してくれるとのことだ。

おばあちゃんが、必死に先生達に
「先生、先生、輝ちゃんをどうかどうかよろしくお願いします。」と頭を何回も下げて頼んでくれている。
後になって聞いたのだけれど、おばあちゃんは、私にあまり傷跡が残らないようにともお願いしてくれていたらしい。

おばあちゃんは、お金は自分が出すから四人部屋じゃなく、個室にしてあげてほしいとお母さんに言ったのだけれど、私が却下した。
おばあちゃんの気持ちは、ありがたいと思ったけれど、要らないお金は、使わせたくないし、個室より、誰かと一緒の部屋のほうが、気が楽だと思ったからだ。

先生達がいなくなってから、おばあちゃんは、私の手を両手で優しく握って「輝ちゃん、大丈夫やから。絶対、絶対、大丈夫やから。輝ちゃんみたいな、ええ子は絶対、助かるから。おばあちゃんが付いてるから。」
と一生懸命、私を励ましてくれる。

「うん、おばあちゃん、ありがとう。
私、頑張る。」と私は優しく答える。

おばあちゃんは、小さいときから、ずっと私を大切にしてくれる。ずっと、私の味方で私の一番の理解者だ。

お父さんとお母さんは、ずっと緊張している。
おじいちゃんも心配でたまらないという顔をしている。

しばらくして、看護婦さん達がきて、いろいろ手術の為の準備をして、私をベッドごと手術室に運び始める。

みんな、ギリギリの所までついてきて、励ましてくれる。

手術室に入ると、今日は他にも2人くらい手術する人がいるみたいで、離れたところで手術の用意がされている。

手術台に移されて、全身麻酔の用意が始まる。
ベテランの神谷先生が「任せときなさい。」と言って、優しく微笑む。

実は、私は、組織検査の結果で悪性だったら、もう片方の卵巣も子宮も残しておいてほしいと自分で言おうと決心していた。
要らない治療で、無駄に時間とお金を消費したくなかったし、迷惑もかけたくなかった。

でも、麻酔が始まると、すぐに意識が遠退いていってしまった。


....急に意識がうっすらと戻った。
まだ、手術台の上だ。

看護婦さんが、気付いて「花田さん、意識が戻りましたか?分からないでしょうけど、もう随分、時間が経っているんですよ。」と優しく教えてくれる。

神谷先生が、斉藤先生に縫合の指示をしている。何か細かく教えているようだ。

神谷先生が近付いてきて優しく言う。
「やあ、安心して。良性だったよ。もう、2度と手術をするのは嫌かい?」

私は、うなずく。

神谷先生は、優しくうなづいて、
「分かった。もう片方の卵巣も調べておくよ。大丈夫。卵巣というのは、少しでも残っていたら、復活して正常に機能するんだ。」と言う。

私は、安心して、また眠りに落ちる。

あとで知ったのだが、神谷先生は、もう片方の卵巣も少し取って調べてくれていたらしい。


また、意識がうっすらと戻った。
ちょうど手術が終わったところらしい。
他の手術は、もう終わっていたらしく、他の手術の先生方も私のほうに、心配そうな顔をして、集まっている。
みんなで、私を手術台から、ベッドに優しく戻してくれる。

看護婦さんたちが、私を手術室から運んでいく。
しばらくして、みんなの声が聞こえる。

「輝ちゃん!輝ちゃん!」おばあちゃんだ。「輝ちゃん」おじいちゃんだ。
「お姉ちゃん!」お母さんだ。「輝!」お父さんだ。
みんな、ずっと、待ってくれていたんだ。

看護婦さんが、「大丈夫です。安心してください。ただ、手術の影響で一時的に高熱が出ています。安静にこのまま、眠らせてあげてください。」と私を病室に連れていく。

私は、また、眠りに落ちる。

目が覚めると、もう日が昇っていた。
点滴と尿管が繋がっている。

起きようとすると、うっ!お腹が響く。

看護婦さんが、慌ててやってくる。
「目覚めましたか?まだ、起き上がらないでくださいね。お母さんを呼んで来ますね。」

お母さんが、慌ててやって来て、私の顔を見て、安心する。

お母さんが、説明する。

私の手術は、8時間もかかったらしい。
縫合に、あとで溶けて無くなる糸を使って丁寧に縫合したらしく、それも時間がかかった要因のようだ。

取り出した左卵巣を金属の容器に入れて、お母さん達が待っている部屋に神谷先生が説明に来たらしい。
取り出した卵巣をみて、お母さん達は、ビックリしたらしい。
私の左卵巣は、ラクビ-ボールみたいな形と大きさで、3kgもあったらしい。
外側が固く厚い殻のようになっていて、破裂しないように自分で保護していたらしい。
中には、水みたいな液体が入っていて、お母さん達は、ゾッとしたらしい。
神谷先生は、左卵巣は、良性のもので、念のため検査した右卵巣も良性だったと説明してくれたらしい。

おばあちゃんたちは、安心してぐったりして、お父さんと家に一旦戻ったらしく、今日、また昼から来るとのことだった。お母さんだけが、付き添いで残ったとのことだ。

看護婦さんが、私の体温を計る。
もう、熱は無かった。
「痛くなったら無理せずに言ってくださいね。痛み止めを出しますからね。」


私の手術は、無事終わった。

しばらく退院まで入院することになる。
そしてその間、いろいろ勉強することになる。




🐈続く🐈