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ねむ~いのミル
ヨガに行く日は、なんだか、一人で好きなことが出来る自由時間だ。
ちょっとの時間だけれど、解放された気分を、少し味わえる。
仕事を終えて、ヨガに行くちょっと空いた時間を近くのショッピングモールで、一人で楽しむ。
その日、食べたい晩ご飯を選んで、ゆっくり食べて、好きなお店をぶらぶら一人で見て歩く。
本屋さん、雑貨屋さん、カバン屋さん、オモチャ屋さん等、その日、見たいものをゆっくりと探索する。
「あまり、早く行くと無料の駐車券が一時間しかもらえないから、ギリギリでいいのよ。ちょっとくらい遅れても、いいんだから。」と、
横田さんや他のおばさまたちが、親切に教えてくれたので、ゆっくり出来る。
楽しんだ後、ヨガに行くと、みんな、同じくらいに来るので、更衣室が混んでいる。
着替えていると、おばさま達が、
「そうそう。あの骨折してた谷さんね。」と、話し出す。
聞いていると、谷さんは、同居のお義母さんの面倒をみているらしい。
お義母さんは、認知症らしく、お世話が大変なのだが、週一回のこのヨガは、自分へのご褒美とリフレッシュに、この時間は家族の人にみてもらって、来ていたらしい。
「怪我したとかなったら、“もうやめとけ”とか旦那さんに言われると思って、無理したんやろね~。」とか、おばさま達の話しは、続いていた。
私と横田さんは、顔を見合わせて、無言で更衣室を出て、そのままヨガマットのほうに行った。
河合さんは、すでにヨガマットにいて、ストレッチをしていた。
{また、治ったら、ヨガに戻ってきたら、いいのにな。あんなに、いつも嬉しそうにヨガしてたのに。}と、
私は、悲しい気分になって願っていたが、結局、谷さんは、そのまま帰ってくることは、なかった。
家族の人に反対されたのか、自分でやめたのか、今でも分からない...
ヨガが始まって、先生が、突然、
「急に予定が、変更になったりとか、乗るはずの電車に乗り遅れたとかない?」と、話し出す。
ストレッチをしながら、思い出す。
{そういえば、先週の日曜日、久しぶりに遠方の友達と会うのに、大阪に行った帰りに、電車の降りる駅を間違えたんだっけ...}
久しぶりに会って、楽しくランチして、観光して、気分よく帰った時だ。
いつも、車を置いている大阪に行くのにアクセスに便利な駅を降りるだけなのだが...
何故か電車のドアが全部開いたときに
{出なさい}って言われたような気がして、
{あっ!ここ、降りる駅だった!}って、慌てて、カバンとお土産を持って、電車を降りてしまった。
電車が行ってから、1つ手前の駅だったことに気付く。
{え~、寝ぼけてたのかな..}
仕方なく、次の電車を待つ。
快速だと、次の駅なのだか、次の快速は、30分後だ。
普通だと、4駅先で、20分くらいかかる。
{まあ、慌てることもないから、ゆっくり帰ろっか}と次の普通に乗った。
やっと、目的の駅に着いて外に出ると、なんだか騒がしい。
パトカーやら救急車が、たくさんいるし、大勢の人が集まっていた。
周りの人が、話しているのを聞くと、近くで大きな交通事故があったらしかった。
ただ、事故の整備が大方終わっていたらしかったので、
{へ~、大変だな}と、
あまり気にせずに、そのまま帰ったのだった。
志穂先生に、このことを話してみる。
志穂先生は、「やっぱり。そんな人がいると思いましたよ。そんなときは、カッカせずに、助けてもらっていると思って、従ってくださいね。」と、不敵に微笑む。
志穂先生は、いろんなことを知っていて、いろいろと教えてくれる。
志穂先生の師匠は、有名な人らしい。
志穂先生、師匠、お仲間とヨガで、ハワイに行ったときの写真を見せてもらったことがある。
師匠は、80歳くらいらしいが、イキイキしている。
志穂先生は、「師匠は、オーラが見えるのよ。私のことを聞いたら、まだまだ、未熟ねって言われたわ。師匠は、物知りよ。」と教えてくれた。
確かに師匠の写真は、愛情深いピンクのオーラで溢れていた。
ヨガが終わって、横田さんと河合さんと着替えて駐車場に行くまで話をする。
「谷さん、治ったら戻ってきたらいいね。」と、私が言うと、
「そうだけど、多分、戻ってこないと思うわ。いろいろ、あるからね。」と、横田さんが、優しく私を諭す。
河合さんも、「そうよね。いろいろあるものよ。」と、優しく同意する。
私は、まだまだ、人生経験が未熟のようだ。
🐈続く🐈